みきちゃ

大統領の陰謀のみきちゃのレビュー・感想・評価

大統領の陰謀(1976年製作の映画)
4.5
「ペンタゴン・ペーパーズ」をみたらコレの流れ、あると思います。はー…面白かった…。やっと自覚したけどどうやら”ジャーナリズムが熱い!”系の物語が好きらしい。

「ペンタゴン・ペーパーズ」のラストシーンがそのままこの映画の冒頭に繋がり、ほとんど続編を観てるくらいの感じ。ペンタゴン~の件で名を上げたワシントンポスト社は、翌年に起こったウォーターゲート事件についても粘り強く取材を続け、諦めずに小さな記事を重ね、それは次第にニクソン政権を終わりに向かわせんとする世論の舵切りに一役買うことになる。これはウォーターゲート事件の若手担当記者二人のしぶとく地道な取材の様子をわりと淡々と、ただつぶさに再現していくだけの映画。

ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンはワシントンポスト社の若手新聞記者役で、彼らはペンタゴン~で言うところのトム・ハンクスの部下。ニクソン政権が事件をもみ消したくてもみ消したくてもみ消しマシーンと化すせいで、手がかりは全然ないし、恐怖から誰も取材に応じてくれないしで、小さな突破口を見つけてはキャーーッ!と喜んで、また行き詰まっての繰り返し。どう考えても怪しいことだらけなのに、本当にじりじりとしか取材が進まないことが歯がゆく、焦燥感が募る。この取材プロセスがリアルに感じられて、たまらなかった。

敵が強大だったから映画化もされたけれど、その敵を追う側の物語はいたって地味。でも二人のバディ感がとても良くて見入った。ロバート・レッドフォード演じるカール・バーンスタインは元海軍で、ペンタゴン~の騒ぎの後の入社。記者としての力量も経験もまだ足りない。ダスティン・ホフマン演じるボブ・ウッドワードは社内での立ち回り方も、取材の仕方もよくわかっていて、裏取りの方法も玄人で、バーンスタインにとっては頼れる先輩といった感じ。人たらしで聞き上手で、なーんか彼には喋っちゃうのわかるなぁ。未熟なバーンスタインにも大きく貢献できることがあって、この映画公開時はもちろん、2005年まで世間には公表されていなかったウォーターゲート事件の内部密告者が、バーンスタインが海軍時代に知り合ったFBI副長官マーク・フェルトだったんだよねえ。フェルトが「ニクソンまじやばすぎ」となって、マスコミを使って世論を動かすことを思いつき、選んだのがバーンスタインだったので、バーンスタインは非常に持ってる新人だったというわけ。

この二人の上司の、ペンタゴン~のトム・ハンクス=ベン・ブラッドリーの上司っぷりがめっちゃ良くて「あなたの下で働かせてください!」という気持ちに。政府の悪事を暴こうとすることの怖さを経験済みのブラッドリーは、あちこちしつこく嗅ぎ回ることで徐々に認知されていく若手二人への厳しい教育的観点も、暖かく見守るもことも忘れないというほとんど理想の上司像。社内会議で「We stand by the boys」と言うところね。外部からどんな攻撃があっても社内は前面バックアップ体制で二人だけに責任を取らせたりはしないよ、という姿勢が伝わる良い台詞。後半で、二人の苗字を割って足して「ウッドスタイン!!」て呼ぶのがまたツボ。二人は二人三脚、良きバディだからね。

常に喫煙してるダスティン・ホフマンが上司のソファーに煙草の灰を落として気づいてない場面があって、ロバート・レッドフォードがさりげに灰を払ってあげてた。演技外のハプニングぽかったけど、撮りなおしされてなくてよかった。ぼやセーフ!ww

それにしてもウォーターゲート事件の実行犯がド素人すぎて笑かす。私でももっとマシにやれると言い切れる。CIAの面汚しとか陰口めちゃくちゃたたかれたんじゃないかなあw

アカデミー賞で作品賞を取ってないってどういうこと!?と不思議で調べたらこの年の最優秀作品賞は「ロッキー」。相手が悪い。この年のアカデミー賞は大激戦やったんや。

終わりかたが渋くて印象的。現実の現実み。

なんやろなー。
タイプライターを叩きたくりたい!
みきちゃ

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