垂直落下式サミング

学校の怪談4の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

学校の怪談4(1999年製作の映画)
3.8
今度の舞台は嵐の過ぎた海沿いの町。この町には、むかし、かくれんぼをしている最中に津波にみまわれ、校舎とともに海に沈んだ子供たちが幽霊となって、今も遊び相手を探しているという怪談がある。流れた校舎が浜辺に打ち上げられたことで、再び幽霊の呪いがはじまる…というおはなし。
前作で、子供向けの方向性にブレが生じたためか、演出のルーデングをブレイクし、ゾッとさせる方向に力が入っている。
シリーズのアイコンにもなっている漫画チックな妖怪は登場せず、モノクロの映像を幻視する場面や、冒頭で人の死を真摯に描くところなど、これまでのシリーズにはなかった恐怖を打ち出した異色作である。
設定としても人の罪過と死者の怨恨をめぐるストーリーとなっていて、心霊演出においても合成や特撮は多用せず、人が演じる幽霊をそのままみせるため、そこにいるものをハッキリとみてしまうJホラーらしい見せ方をしている。
後半は、津波を生き残った文房具屋さんの贖罪に焦点が当てられるので、可愛らしい子供たちの群像劇要素は薄くなっているが、それでいて物語の着地はよりいっそう優しいものとなっていた。
見所は人面犬ならぬ人面蟹。背には鬼(オーガ)の紋様。彼は絶え間無い殺戮の日々をおくることで、打撃に特化した背中のヒッティングマッスルが極限まで増大した最強生物である。