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学校の怪談4のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

学校の怪談4(1999年製作の映画)
3.5
『弔いのかくれんぼ』

一言で言って、とてもせつない映画でした。ただし、それは単に“悲しみ”に溢れたものなんかじゃなく、涙が頬をつたいつつも笑顔でサヨナラを言える。そんな後味の残る映画でした。

一旦、金子修介監督に預けていた屋号を戻し、満を持しての平山×奥寺コンビ復活!とはいえ、前作までの様式は封印。なので、どちらかというと“4”というより“新”の方が合っている、新装開店なこの続編。あの震災を経験した今、あえて必見と迄は言わないまでも、怪談という下手をすれば不謹慎となり得るジャンルながら、むしろ慰霊や鎮魂というものを感じられる内容には素直に感動しました。

あの日、生放送で届けられた空撮映像に、人生とはこんなにも儚いのものなのかと吐きそうになったのですが、白黒で綴られるこの映画のオープニングにあの日の想いが重なりました。ただ遊んでいただけの時間は、そこで止まってしまった。あの子らは、かくれんぼが別の意味で“終わってしまった”事を分かってない。そこがとにかくせつない。

生者からすると、その子らからの終わらない遊びの誘いはとても恐いもの。だから、前作までの“恐かわいい”お化け達の姿は無く、その代わりきっちりと怪談が繰り広げられる。特に酒蔵のシークエンスがとても恐い... 本当に恐くするなら特殊効果はむしろ不要というのを、特殊効果バリバリだった人達が繰り出す説得力。途中「しっかり恐い」のがホント素晴らしい。

子役達の演技的にはシリーズ中最も“棒”の子が多いのと、その極めつけとしての笑福亭松之助の演技がなかなかのインパクト。ただ、その周りの引き立てもあってか、とにかく豊田眞唯演じる弥恵がとても魅力的に映る。前作迄の目に見える形でのクライマックスが臨めない中、とにかく誰彼を問わないその無償の愛が、映画を含め海の“そこ”から全てを引きあげる。そして、観ている者に訪れる笑顔での涙こそ、この映画の象徴。今までとは違う“この学校”での怪談は、一作目とはまた別の意味での傑作だと思いました🐼
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