ゆき

プレシャスのゆきのレビュー・感想・評価

プレシャス(2009年製作の映画)
3.5
everybody has good something

1987年。母親からの罵声を浴びる日々を過ごす16歳の少女。彼女のおなかには父親の子供がいる。
決して美しくはない彼女は読み書きもできない。そんな名前とはかけ離れた日常に一人の教師と出会うことで一筋の光が現れる。

選ぶのは自分。ただ、選択肢のある環境にいられるかがまず運命の分かれ道。
煌めく妄想はいくらでも広がるのに、「学」がないだけでこんなにも人生の選択肢はかぎられるものなのか。そんなひたすらに辛い「境遇」を見続ける前半。我慢する以外を知らないプレシャスが時折見せるティーンエイジャー感が唯一の救いでした。
人生を充実させるにはいろんなコンテンツが必要。「人」「お金」「学び」「愛」「経験」。ただ全てに通じて基盤になるのは「家族」。
母親の立場になるまで気持ちなんてわかり得ない。けれど母親も元をたどればただの女でしかない。しかし嫉妬に狂って抵抗する以外手段がないのはとても醜い。いい反面教師の元にいた分きっと彼女は子供に愛情を向けられる気がする。彼女の友人と恩師に囲まれながら。そして子供もきっと彼女を愛するだろうし。

この一文に尽きる一作。
「すべてのいとしいおんなのこたちへ。」
ゆき

ゆき