平成2年の男

プレシャスの平成2年の男のレビュー・感想・評価

プレシャス(2009年製作の映画)
2.5
・正直に書こう。「何食ったらこんなに太れるんだ?」これがプレシャスに抱いた最初の印象だ。2つ目の印象が「この子がセックス? 16歳で子どもができた?」である。3つ目の印象は「パパは、この子のどこにそんなに性的興奮を覚えたんだ?」である。最低な私の感受性だが、本心なのだから仕方ない。差別野郎とでもなんとでも罵れ。デブは努力でなんとかなるんだ。

・デブに厳しい私でも、「食べたくないのに」と言いながら、プレシャスが豚足料理の残飯を処理する姿にはくるものがあった(とは言っても、プレシャスが太っているのは、演者ガボレイさんの生活習慣上の問題なのは現実的に明らかなので、どうしても冷めた目で見てしまった)

・母親役の怪演にはあっぱれ。あれほど嫌な感じはなかなか出せない。

・いい意味で、イライラする点が多すぎる。プレシャスと母とのバトルを見るたびに、役所は早く助けてやれよ、ともどかしくなった。そして子が生まれて退院したあとになぜか母親の家に戻るプレシャスに、あほっ!あほっ!と脳内で叫んだ。これほど、のめり込んで観た作品は少ない。だから、わたしの負けなのだ。

・プレシャスはいい子だ。とてもいい子だ。ネグレクトにも負けず、近親相姦にも負けず、まともな恋愛ができなかったことにも負けず、AIDS罹患者としての人生を受け入れて、20歳にもならないのに子どもを育てる覚悟まで決めた。挙げ句の果てに、ネグレクト母の過去を知り、赦しを与えた。もはや仏様だ。わたしが文句を言いたいのは製作者陣にだ。世の中の不幸の全てを凝縮したような女の子を登場させて何を伝えたいんだ、てめーらは。賞を貰えて喜んでんじゃねーぞ