ミモ

プレシャスのミモのネタバレレビュー・内容・結末

プレシャス(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ハーレムで生まれ、父親にレイプされた子を二度も産むことになったプレシャス。母親はその性的虐待を止めるどころか、娘に相手を奪われたと思い、さらに言葉と暴力で虐待する。妊娠で退学させられたプレシャスは、紹介されたフリースクールでレイン先生とクラスメイトに出会う。前の学校では誰とも話さず、後ろの席にいたプレシャスだったが、レイン先生と読み書きを学んでいくうちにクラスメイトとも少しずつ打ち解け、変わっていく。

黒人差別の映画はいくつか見てきたけど、この映画は少しカラーが違った。差別はあっても、愛があったり、自分の信念をもつ黒人映画が多い中、この作品はひたすら“愛”を否定され、人格を否定されつづける。プレシャスは読み書きが出来ないのではなく、親からその能力を否定され、学ぶ機会を奪われているのだ。この映画は黒人差別の映画というより、日本の是枝監督みたいな親からの虐待を描く映画に似ている。ひたすら親から否定されて育ったプレシャスは、自分の潜在能力すら否定してしまうのだ。
目を覆いたくなるような虐待ののち、救ってくれたのはレイン先生だった。初歩的な読み書きを覚えていくうちに、少しずつプレシャスは自分の尊厳を取り戻していく。レイン先生の言ってくれたIlove youはとても重い言葉だった。
最後の母親の独白シーンも衝撃的だった。自分の愛する人を奪われる悲しさもわかる。でも、それよりプレシャスのうけた虐待は酷すぎる。本当に血の気がひくような壮絶さだった。
この映画の評価は難しい。でも、記憶に残る映画だった。
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