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ミニー&モスコウィッツのnadaのレビュー・感想・評価

ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)
5.0
学芸員と駐車場係という階級の差い(ちがい)を突破して結婚に至るまでの怒涛のあくせく。
ご都合主義? いや、これは奇跡的な関係の軌跡だ。

終盤、両母親との顔合わせの際にモスコウィッツの母が息子に対して辛辣な評価を投げつけるシーンは胸が締め付けられる。あれは単なる否定ではない。ミニーを試すと同時にかの女の将来を気をかけての言動である。さらに言えば我が子がこのさき傷つかないようにと思いやってのことでもある。少なくともそう捉えうる余白を残して撮っている。
カサヴェテスの映画で執拗に描かれるこうした屈折を見るたびに、「人間」に触れたような生々しさにひらすら打ちのめされてしまう。
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