ポルりん

ウルトラマン 恐怖のルート87のポルりんのレビュー・感想・評価

2.3
「ウルトラマン」の第20話で交通戦争への警鐘といったテーマを持った話。

あらすじ

或る深夜、大室山が不気味に発光し、公園内の動物たちが不気味に騒ぎ出す事件が発生。
ハヤタ、アラシ、ムラマツが現地で調査をしていたちょうどその時、科特隊の作戦室に不思議な少年が現れ「高原竜ヒドラが暴れる」と警告してきた。


物語の終盤でヒドラとウルトラマンが戦い、終始劣性であったウルトラマンがヒドラを倒せるチャンスが舞い込んでくるが、ヒドラは少年の魂が乗り移ったと知ると攻撃を中断する。
ヒドラが少年の魂を乗せて飛び立つ姿をウルトラマンが見守るといった、ウルトラマンは単に悪をこらしめるだけのヒーローではないということを見せたかったのだろう…。

だが、普通に見逃して良かったのだろうか…。
科学特捜隊はウルトラマンの行動に全員安堵の表情で最終的には笑顔まで見せたが、ウルトラマンはヒドラを改心させた訳ではなく単に相手を見逃しただけである。
当然のようにまた車を襲うだろう。

最終的には少年をひき逃げした犯人が自首して少年が成仏したようだが、その間に罪もない一般市民が何人犠牲になったのだろうに…。
ヒドラを殺害しろとまでは言わないが、せめて身動きの状態にするなり、封印するなり、一定期間動きを封じた方が良かったのではないだろうか…。

同じウルトラシリーズでも交通戦争をテーマにした作品は幾つかあるのだが、本作はその中でも割とレベルが低い方だと思う。
ウルトラマンタロウの「幻の母は怪獣使い!」といった話があるが、こちらの方がストーリーが面白いだけでなくメッセージ性も高く、ホラーとして考えても遥かに上である。
もし、ウルトラシリーズで交通戦争をテーマとした話が見たいのであれば、「幻の母は怪獣使い!」がおススメである。

そういえば本作で化学特捜隊本部への部外者の出入りは禁止されている事が分かった。
しっかり警備をしていて部外者は入れないようにしているのであろう。
しかし、第1話からまるで自分の家のように勝手に出入りしている部外者がいる。
名をホシノ君というのだが彼は一体何者なのだろうか・・・。

怪獣ネロンガの片目を潰したり、ザラブ星人からハヤタを救出したり、戦闘機を操縦したりと某メガネの少年を思わせる行動をしている。
恐らく戦闘機の操縦はハワイで親父に教えてもらったのだろう。
そんな素晴らしい功績を称えられて科学特捜隊の制服を与えられ、隊長やフジ隊員の助手までつとめている。

とても小学生とは思えないが、ちょっと待って欲しい。
これは、労働基準法に違反しまうのではないだろうか…。
調べてみたら、労働法五六条第一項で、「満十五才に満たない児童は労働者として使用してはならない」と書かれている。
映画の制作や演劇は例外らしいが、ホシノくんの場合は隊長から戦闘機を飛ばせと命令を受けたり、本部でお茶くみまでしている。
これはアウトなのではないだろうか…。
ポルりん

ポルりん