東朴幕院

ゴッドファーザーの東朴幕院のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.5
本当に久々に鑑賞。初見は中学生の時だからこの物語の良さは全く理解出来ていなかった。
今回、改めて鑑賞するとこの作品の凄みがずしんと重くのし掛かるね。
コルレオーネ一家を支え、マフィア社会を牛耳るドン・ヴィトー。彼の流儀が一般市民には理解出来ない所もあるが、ビシッと筋を通している所がとても魅力的な人物に見えてしまう。そのヴィトーを演じたマーロン・ブランドー、一世一代の演技だったね。決してオーバーアクトではなく掠れ声で吐く台詞には音楽を聴いているかの様な心地良さがあったね。
そして三男のマイケル、ヴィトーは表舞台での活躍を期待していたが一家の抗争の果てにヴィトーを継ぐことになるが、この皮肉さと言ったら。この時にマイケルは理解出来る訳もなく、そして闇雲にマフィアの世界にどっぷりと浸かっていく。時折見せるまるで『スカー・フェイス』の時の様な表情を見せるアル・パチーノの狂気と色気と知性を感じさせる、痺れたね。
共演には、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ジョン・カザール、タリア・シャイアと超豪華。70年代で最高な演技派が揃った印象だ。
そして印象的だったのは、冠婚葬祭の一連の儀式だ。その儀式にラストの惨劇も交えた編集は、とても工夫に満ちたものだ。マイケル・チミノもこの手法を意識して『ディア・ハンター』『天国の門』を作っていたらと夢想してしまう程、ラストのシークエンスはコッポラの技が光ったと思わせる傑作だと思ったね。
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