円柱野郎

ゴッドファーザーの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1945年のNY。
イタリア系マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネは威厳と尊厳を持って組織を束ねていた。
ある時、持ちかけられた麻薬密売の話を断ったことからヴィトーが何者かに襲撃されてしまう。

2人のドンについての重厚なドラマ。
一人は一代で組織を築いたヴィトー・コルレオーネ。
そしてもう一人はその末息子で父の跡を継ぐマイケルだ。
威厳と貫禄のあるヴィトーが引退して老いていく姿と裏腹に、跡を継いだマイケルがその以前と以降で冷徹さに磨きがかかっていく様子がすごい。
ヴィトーを演じるマーロン・ブランドも、マイケルを演じるアル・パチーノの演技も両者ともに一級品だが、その顔つきの変化は劇中での月日の経過を感じさせるものになっている。

冒頭の披露宴の場面でイタリア系「ファミリー」の雰囲気とヴィトーの“力”や“義理人情”のある人となりを一気に見せつけるけれど、それがあるからこそヴィトーというキャラクターの魅力が増しているのは確か。
3時間という長い映画ではあるけれど、マフィアの長としてはヴィトーの貫禄に及ばない短絡的な長兄・ソニーの顛末や、跡取りとしての運命を自覚して行動に移していくマイケルの変化がドラマとして実に見事で引き込まれる。
マイケルがレストランで二人を射殺するシーンは運命の転換点としてもこの映画の白眉だけれど、個人的にはエンディングの方もかなり印象に残る。

映画のラストで義兄のカルロを殺したのかと妻に問われ否定するマイケル。
彼の妻・ケイはそもそも堅気の人である。
その妻にマイケルは嘘を言った。
これは完全に堅気の世界との決別であり、その妻との間の扉が閉まることはすなわちマイケルがあちらの世界の人間として完成した証でもある。
円柱野郎

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