yukihiro084

ゴッドファーザーのyukihiro084のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0
便宜上、星をつけているけど、
さすがに(ゴッドファーザー)に
星を付けるのか、と思うと、
滑稽に思えてくる。
ゴッドファーザーに?この作品?と
何度も自問してしまう。

昔々、真夜中のテレビで観た。
まだ僕が(映画の長い旅)に出る前の話。
なんとなく名前は知っているし、
観てみるかーと思ったか、
つけたテレビでたまたまやっていたか。

今でも好きなのはオープニングだ。
黒い背景の中、ひとりの男の独白の
アップから始まる。まるで懺悔のような
その語りは、話の着地が見えない。
しかし男の声に怒りを帯びてくる。
どんどんカメラは引いてゆく、
手前で話を聞いている男が数分後
その姿を現わす。
見た目や声が、普段のものから
かけ離れたマーロン・ブランド演じる
ドン・コルレオーネだ。

声を荒げたり、相手を威嚇することも
ない、紳士的で優しげな男だ。
友人、そしてファミリー。
男は何よりもそう口にする。

結婚式から映画は始まる。
結婚式がラストに来る映画は、
そのラストに登場人物たちを
総登場させることがあるが、
この映画は、結婚式から始まる。

最初に、登場人物を登場させておいて
ドラマのホームページような
(人物相関図)を見れてくれる。

ドンの苦労や、子供たちの立場を
見せながら、キャラクター紹介も
冒頭に手際良く済ませてしまう。

当時、映画を見慣れていない僕でもわかる。
こんな完璧なオープニングってないよね。
もう面白い予感しかしない。

アル・パチーノの翳りのある目つきとか、
ダイアン・キートンの心が凍ってしまった
ような表情や、ロバート・デュバルの
クールな佇まいや慇懃な感じ、
ジェームズ・カーンの粗野っぷりや
ダメな二代目感も、ジョン・カザールの
弱さと脆さ、その全てが、
悲劇を予感させ、最後まで目が離せない。

やっぱり何でゴッドファーザーに
星をつけてるのか、わかんないけど、
この作品に出会ってなかったら、

僕はフィルマークスにいないよなぁと。
そんな気がするなぁ。

WOWOWで3部作一気放送。
何十回目の鑑賞。
色褪せることも古びることなく、
美しく、正しくて、別格だった。
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