マクガフィン

ゴッドファーザーのマクガフィンのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.8
冒頭のコルレオーネ屋敷の書斎の暗さと、娘の結婚式の華やかさの対比。書斎での頼み事や結婚式の常軌を逸脱したスケールなこと。更にドン・コルレオーネの過去のエピソードが加わり、初代ドン・コルレオーネ演じるマーロン・ブランドの凄みがあるキャラがドンドン上書きされる、作品や各々のキャラの説明とテイストの構築が秀逸に。

マイケルの成長譚であると同時に二代目のボスとなる前日譚にも。カタギだったマイケルが、父への狙撃を心境の変化とし、父親への復讐とファミリーを守るために、次第にマフィアの凄みを身につけていく豹変さが凄い。マフィアを忌み嫌う者が、破滅すると知っても、家族の愛ゆえに、自分の運命とマフィアを背負うことの哀しさ。タイトルロゴの操り人形をメタ的にした、人を操っていた者が運命に翻弄された操り人形であったこと。それらに哀愁感漂うニーノ・ロータの有名なテーマ曲とのマッチさが絶妙に。

要求を飲まない映画プロデューサーに対する、愛馬の首を寝ているベッドに置く、間接脅迫のエピソード。終盤の洗礼と殺戮のシーンでの、時期を見計らって復讐するシチリア・マフィアの執念と恐ろしさが凄く、見所も満載に。また、NYとシチリア、マフィアの父と堅気の息子、マフィアのファミリーと本当の家族、表と裏、生と死、愛と罪、愛と孤独や、疑心暗鬼などの様々な対比も強烈で、印象的に。

冒頭のマイケルの優しい姿が微塵もない、冷酷無情で知的なマフィアのボスの姿を描写し、家族とファミリーの境目を示すような違和感と、様々な疑心暗鬼が渦巻くことを同時に描いた結末のセンスの良さに唸らされる。

傑作中の傑作。オールタイムベスト級な作品で、何回も鑑賞した作品なのだが、それでも「午前十時10」にて映画館で鑑賞できて幸せに。「ゴッドファーザー Ⅱ」も映画館で上映して欲しい。