スガシュウヘイ

ゴッドファーザーのスガシュウヘイのネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

一度見て、二度見て、三度見て、その度にどんどん面白くなる作品。味わい深すぎる。


格調高い映像、無駄のないストーリーと配役、哀愁漂う象徴的な音楽。すべてが完璧に混じり合い、1つの物語を紡いでいる。


本作はマフィア映画で、銃撃戦も多々ありますが、根底にあるのは、愛の物語。
家族愛。人間愛。絆。


その証拠に、冒頭、どんなにケチな頼みごとであろうとファミリーの頼みごとなら何でも聞いてやったドン・コルレオーネが、麻薬取引の話は丁重に断った。麻薬は、いくら金になろうがやらない。なぜなら、コルレオーネが大切にしているのは、金ではなく、人間だからだ。


金ではなく、愛や絆を求める。それって実は、今、現代を生きる多くの若者と同じ姿勢なんではないだろうか。資本主義に疑問を持ち始めた現代の若者と。少なくとも私は、絆を求めるコルレオーネの美学に共感する。そして、今なお、多くの人々を魅了する理由だろう。


コルレオーネを演じたマーロン・ブランドは、特に声を張り上げるわけでもなく、常に静かな佇まい。にも関わらず、ものすごい存在感である。もはや何か超越したものを感じる。


堅気からマフィアへと転じていく三男マイケルを演じた、アル・パチーノ。こちらは、カッコ良すぎてしびれる。彼には、マフィアとしての才能があった。才能のあるものが、必然的に抱え込む責任とその苦悩。強大なものからファミリーを守る姿勢。そうした過酷な運命に挑むアル・パチーノもまた、私を鼓舞してくれる。


この作品は、「家族を守る」という太古の昔から脈々と受け継がれてきたテーマを深く芸術的に描いた人間物語なのである。単なるマフィア映画ではない。


逆を言うと、迫力の銃撃アクションが見たい方には向かないかもしれない。


他にも多数の魅力的なキャラクターがおり、書き切れない。これだけ壮大な一大叙情詩が、わずか3時間の中に収められているというのが、信じられない。


公開:1972年
監督:フランシス・F・コッポラ
原作:マリオ・プーゾ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ
受賞:アカデミー賞作品賞ほか多数。