どーもキューブ

ゴッドファーザーのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

コッポラ・プーゾのイタリア系神の父

【ネタばれあり、音声解説のネタ入れる】(ブログ追加版)

1972年 
アカデミー作品、主演男優賞、脚色賞受賞。
脚本原作マリオプーゾ
脚本監督フランシスフォードコッポラ




コッポラといえばこれ、「ゴッドファーザー」だ。イタリアンマフィアを描いた素晴らしき傑作。オスカー受賞、大ヒット、続編製作、各ソフト発売、名作認定の伝統いり。

そもそもな話。
うちに小さい頃、ベータの録画ビデオがあった。父の大好きな作品。子供の時から長らく気になっていた。

のちCICビクタービデオ低価格の目玉タイトルだった。3980円とかだったか?!2巻組のゴツイビデオだった。

それからDVD発売、廉価版、ボックス発売、デジタルレストア版、コッポラ映像特典付版ともはや多作なブランド発売。名作のあかし。

サントラ大ヒット 
タイトルロゴTシャツ化、パロディ化傾向
ドンコルレオーネ物真似化
本物ギャング愛好映画 
リバイバル
再上映 
フィギュア発売
何周年目記念発売にまで至る。

ちなみに同種類映画のタイトルとして「ブレードランナー」「スターウォーズ」などなどある。

鑑賞するのは、おそらく3回目。
劇場1回鑑賞。「午前十時の映画祭」にて。

見るのは4、5回目。圧倒的に面白い。そしてイタリア系マフィア生活を覗きこみ、神ドンコルレオーネの世界に染まる3時間。小ぎれいで、イタリアンで、家族思いで「仁義なき戦い」とは違う。
私のイメージは、このシリーズ「part2」が1番人気だとひそかに思う。抗争、裏切のギャング要素過多のツーの方が人気だと思う。本作の家族ドラマは、ある意味ベタでかたぐるしさがあると思う。「3」は閉口。みんな口閉じがち。


2020年何気なしのブックオフにて購入。ブルーレイで鑑賞してみた。

 

するする見れた。素晴らし過ぎた。
そして見終えた後、コッポラの音声解説を聴いてみた。そんな余裕が出来た2020年5月。

見ると衣装や舞台設定が素晴らしい事に気づく。ネクタイ、スーツ、ワイシャツ、スーツ色、帽子。

1940年から50年に重きをおいたコッポラ。当初の脚本は、1970年代の発表当時にあわせヒッピーとか登場していたとか。マリオプーゾも原作を映画化される喜びから会社よりその70年代の脚本をあて書きした。しかしコッポラが読んで愕然とした。こんなイメージじゃないと。本作の残酷描写もしっかりあり、ネガティブ要素満載なんだが、イメージの綺麗さ、荘厳さ、きっちりとした様式美は、限りない衣装や舞台装置、時代設定にあった事を知りなおす。

見てからずーっと。イメージはマフィア映画なんだけど美しくどうもうな黒いイメージがあった。

俳優達の素晴らしい演技につきる。それは間違いなくオスカー受賞のマーロン・ブランドの演技だ。あの真似されるしゃがれ声だ。ドンコルレオーネのあの小さな声だ。

この声もかなり撮影中不評で、辞めさせろまで話がいったそう。なんだあのきこえない声は!と。

マーロン・ブランドは、スクリーンテストで、銃で撃たれていてしわがれた声でいきたいと金髪ポニーテールでコッポラのスクリーンテストを受けたとの事。

スタジオは、ノーギャラで、
保険をかけろ(トラブルを起こす。マーロン・ブランドは既に大御所。かつ気難しいで有名。撮影時40代後半。この頃人気落ち気味。公開された映画が酷評されていた。)とスクリーンテストに行くコッポラに葉っぱをかけたらしい。

ノーギャラに出来るわけないだろうに。ですが、ギャラは、かなり低めだったとコッポラ。「パート2」は、ギャラで揉めて直前で降りたらしい。

もう物真似された伝統的「ドンコルレオーネ」。しゃわがれ声、口閉じ気味、大袈裟じゃなく大人しめ。ドンコルレオーネの冒頭の素晴らしい30分強の面接のような仕切り必見。次々と来る困り事相談の来客に「ゴッドファーザー」と名乗れ、崇めろと命令してるかのようなあの態度。

 あの裁き方と指示の素晴らしさ。ポリシー「麻薬は駄目」の哲学。支えるロバートデュバルの冷静さ。敵から半殺し問い詰めにあってもクールな感じ。素晴らしかった。コッポラは、「雨のなかの女」でデュバルの出演に助けられたそうで、そこからの縁だそうだ。「雨のなかの女」で出演する警察官の役者が突然降板し、迷ってた矢先の出演だったよう。

コッポラの初期作品「雨のなかの女」
こちらはなかなか地味な作品で、とても「ゴッドファーザー」の監督が撮った作品には見えないちっぽけな鬱ロードムービー。わたしも見直したい作品。このなかでロバートデュバルはいやな警察官で出演していた気がする。

また終始まごついて、イラつかせ、好きなんだか嫌いなんだかはっきりしない男を演じるジェームズカーンを見てほしい。「ゴッドファーザー」とは真逆なイライラがつのる。   

「ゴッドファーザー」のジェームズカーン。実際マフィアに接触し、素振りや所作を演技作りに生かしたとのこと。コッポラは原作者マリオプーゾに「絶対つきあったり、会ったりしてはだめだ」と釘をさされ会わず。かえってそれがよかったと振り返る。本作の爆発的人気につきあってたらどんなイヤがらせやら危ないめにあうかとのこと。本当怖い!

ジェームズカーンのブチ切れや無駄口を挟むシーンの素晴らしさ。マーロン・ブランドに注意されるシーン必見。

ジェームズカーンの末路は、アーサーペンの「俺たちに明日はない」をしっかり意識したそうだ。確かにくりそつな最後だった。そしてむごい。最後蹴りいれらるからね。ああいう細かな描写が本作は端々にある。それは、ほぼマリオプーゾ原作ありきか、コッポラの演出か、また誰かの助言かに分かれていた。 

ほっぺのメイク、皺は、特殊メイクの殿堂ディクスミス大先生。

アルパチーノの殴られた左頬も全てディックスミスだ。腫れた顔や内出血顔も実にリアルだ。

アルパチーノを殴った男が、スターリングヘイドンだったとは。今回見て気づいた。素晴らしい脇だったが、なかなかふてぶてしくて良かった。

コッポラ曰く「ヘイドンは、謎の人だった」そうだ。60年代フィルムノワールを支えたヘイドンの客演だ。

今回見て思ったことは、ゴッドファーザーの家族描写だ。結婚式が2回、教会洗礼シーン1回と多め。やたらとこんなに繰り返す映画はない。冒頭のタリアシャイアの壮大な結婚式。シチリアでの一目ぼれのアルパチーノの結婚式。ラストの教会。この3回の結婚の出所、末路も実は最大の見せ場になっている。幸せから不幸のどん底まで落下スピードもはやい。これが実は見せ場でもある。

一見取り沙汰されてる銃撃、暴力、嫌がらせ等目が奪われがち。

だが本作の根底は、マフィアの家族愛とその崩壊のドラマだ。家族的な描写、子供をめでたり、女房と仲良くしたり、子供を思う親心だったり。冒頭の結婚式から具体的台詞などないが、あの楽しい感じから伝わってくる。

そしてアルパチーノの恋模様も映画の主軸だ。恋模様というか、かなり身勝手、一方的、略奪に近い一目ぼれだが。その愛の獲得と冷めと再愛からきている。アルパチーノの成長は一つの見せ場になっている。実際ダイアンキートンとは恋仲に長らくなったとのこと。

そのアルパチーノに「なって欲しくなかった」と言うマーロンブランド。彼のマフィアドンぶり、ボスぶり、家長ぶりも必見だ。アルパチーノを見る映画だ。

イタリアン系の生活様式、習慣もさることながら、マフィアの言動をまさに体現。40代後半だったマーロンだが、特殊メイクと抜群の老け演技も加わりオスカー受賞した。(オスカーは、辞退している。確か受賞式にインディアンの女性を登場させ代読コメントを読ませたんだとか。ここからすでにマーロンの生き方の癖が強いのがわかるエピソードだ。素直には喜ばないのだ。)

ビデオジャケット写真にもなる猫抱きゴッドファーザー写真。猫はアドリブだそうで、撮影所にいた猫を猫好きなマーロンに持たせたそうだ。子供や動物が大好きなマーロン。

結婚の後暴力、抗争が起きる。この浮き沈みの素晴らしさ。この純粋な連鎖ドラマがアカデミー脚色賞受賞の手腕だろう。

原作では、性器がデカすぎて手術しなければならない女性についてかなり描写がさかれているとのこと。ていうかそれ!何?という感じだが。要はマフィアだけの内容じゃ無いマリオプーゾの本だった。当初コッポラは、この描写があるからあの変な事書いてある小説という事で抵抗した。

本作おとなしめなジョンカザールは、「part2」で頭角を現す。

ジョージルーカスも本作を手伝っていた。本作の新聞が出て実際のギャング抗争写真、殺害写真がモンタージュで出るところがジョージルーカスが撮った。

またマーロンブランドが入院している病院にアルパチーノが訪ねる。あのサスペンスあふれるシーン。無人の廊下がいくつか出て、サスペンスが高まる。あそこの無人ショットがルーカスの助言だそう。アルパチーノが出たり入ったりだけで当初イマイチでルーカスが助言したとのこと。

コッポラとルーカスはルーカスの「アメリカングラフティ」でどっぷり共作したなかだ。

ルーカス監督、コッポラ製作。サントラの製作だけですんごいこだわりを詰めた本作だ。

2人の友情共作スタイルは、のちの黒澤明の製作者に名を連ねる「影武者」に引きつがれていく。

この幸せの後の不幸、幸不幸が続いていく映画って自分のなかで考えてみると名作や自分の好きな映画が多い事に気づく。

本作のアルパチーノが退役軍人からラストのマフィアドンになる成長。

一方、ドンコルレオーネことマーロンブランドのばりばりのドンぶり披露。から銃撃され一時画面から消える。そしてしばらくして復活し、地面に倒れる。

つまり「死」だ。映画の基本要素死だ。これがある映画は山ほどある。

本当に心に響いているのかどうか。そこが一番重要だ。

オスカー主演男優賞受賞したマーロンブランドは、少なくとも多くの人に死が届いたんだと思う。だから受賞出来たんだと思う。

ラストの冒頭に戻るブーメラン構造。時間が経過し、人間がかわり、映画が終える、この映画が終わる。ラストカットは、ダイアンキートンの見てしまった無の表情が一瞬うつり終わる。扉は閉じられる。




さて
コッポラ・プーゾの神の父

マフィア映画の基礎映画。

未見の方は良かったですね。こんな、素晴らしい映画これから見れるなんて。
是非是非おすすめ致します。

追伸
「part2」をブルーレイ注文したのはいうまでもない。コッポラの音声解説がききたいのだ!「part2」もレビューします。ご期待ください
「part2」Amazon売り切れてたし、、、。(今在庫は随時参照されたし)

あとコッポラ「雨のなかの女」再発願う。復刻ライブラリーも廃盤のよう。学生時代にやっと見つけたビデオ屋で借りたので思いでの作品。内容かなり暗いロード鬱ムービーだ。なにひとつ幸せ要素なしのロードムービー。

あとあとコッポラ処女作「大人になれば」もよろしく再発!ほぼ忘れたシチュエーション青春もの。

ナウ追記
2020.5.6AM9時にパート2ブルーレイ無事に注文到着。はやさにびっくり!!
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