KY

ロッキーのKYのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
4.3
シルヴェスター・スタローン脚本・主演。アカデミー賞作品。

ストーリーの詰め込み方のバランスが圧倒的に上手いし、思ってたよりも恋愛映画だった。正直『最後負ける』という結果があまりにも有名だけに見るの渋ってたけど、むしろ知ってるからこそ面白かった。

最近アメリカンニューシネマの『真夜中のカウボーイ』を見た後だけに、当時の若者が『夢や希望を抱くも社会に敗北し折られる映画』が蔓延する中、勝ち負けではない価値観を提示したこの映画に熱狂したことがより理解できた。

【起】物語に動機がついて走り出すまでの設定紹介に30分かけてて冗長な印象はあるけど、有名な亀飼ってる設定とか荒くれ者なのにいいヤツ感出て上手い設定が多い。

【承1】世界チャンピオンのアポロ・クリードが対戦相手にロッキーを指名するところから物語に動機が生まれる。ロッキーを指名する動機がショービジネスのためというところが【社会VSロッキー】という構図に仕立て上げてて上手い。

しかしすぐ展開すると思いきや、恋愛に展開。引きこもりの美人じゃない知り合いの妹をヒロインにするのは地に足がついた設定で抜群に上手い。

若干修行パートがなかなか始まらずイライラするところはあるけど『物語に動機が生まれても主人公に動機が生まれなければ意味がない』という、この映画最大のポイントはここにある。ロッキーとエイドリアンが恋におちるまでを20分の駆け足で描いたおかげで物語の動機が動かないことへの不満は最低限に抑えられた印象。

【承2】主人公の動機ができたので修行パートへ移行。修行パートがいい意味で少なかった。ジャンプ漫画然り修行パートが長いとげんなりするし、かといって足りないと達成感が薄れる。でも生卵飲んだり、ロッキーのテーマ曲での修行ダイジェストで修行感を凄い出せてて世界戦までの努力が描けてる。ロッキーのテーマ曲の偉大さはそこにあるのだとわかった。

【転結】恋愛と努力を積み上げてきただけに、見る側もかなりロッキーを応援したくなるし、健闘する姿に胸が熱くなる。ラストで結果よりも愛する女を気にするロッキーも素敵だった。

振り返ると、この映画最大のポイントは大きな夢と身近な幸せのバランスなのだと思わされた。団塊の世代はこの映画を見て『身近な帰る場所を支えるために一生懸命働く』という生き方を背負ってきたのだろうか。

もちろん、今『ロッキーみたいな生き方をしよう!』と短絡的には言えない。自分の世代は身近な帰る場所よりも遠くの人間とのSNSでの繋がりを求める世代だけに、承認欲求などが大きな邪魔をしていて一筋縄ではいかない。現代人の多くは帰る場所も空虚になっている。そもそもロッキーが世界チャンピオンと戦えたのが【運】であることに納得できない人も今だと多そうだし。