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ロッキーのcreamymamiのネタバレレビュー・内容・結末

ロッキー(1976年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

本作のスゴいところを挙げるとキリがないが、特に試合の前日にエイドリアンに弱音を吐く場面が好きだ。スポーツにおいて「結果が全てである」という考えは揺るぎない。例えどんなに努力したとしても、どんないい試合をしたとしても結果が出なければ、その過程は全て無意味、無価値とすら言われることもある。しかし、『がんばれ!ベアーズ』ではそういったスポーツにおける概念を覆した。この映画では弱小ベースボールチームのチビッコ選手たちが「負けたことによって勝つことよりも価値あるものを手に入れる」というオチがつくわけだが、「勝つことが全て」であり「負けは負け」でしかなかったスポーツ界において「〝負け〟にも価値がある」ということを認めた画期的な映画だった。この『ロッキー』でも「負けてもいい」というヒヤリとするワードが出てくる。対戦相手との格の違いに自信をなくした主人公は、試合の前日、恋人に弱音を吐き始めるという一見どうしようもなく情けない場面で主人公がこぼす台詞だ。「おいおい、大丈夫か?」と一抹の不安が過るが、その後に続く台詞が胸を打つ。

「猛練習したわ」
「当たり前さ 俺はクズだったから。でもそんなことはどうでもいい。今はこう思ってる。〝負けたってかまわない。15回まで戦い抜く〟って」「もし15回まで戦えて、まだリングに立っていられたら、生まれて初めて実感できる。〝裏町のクズじゃない〟って」

私も自分のことをクズだと思っているので、この主人公、この映画にグウァングウァンに触発された。今も私の頭の中でロッキーのテーマ曲が鳴り止まない。

・『クリード チャンプを継ぐ男』との比較
新作ロッキーではファイトシーンでストップモーションをバンバン使っていたが、本作にはそんな派手な演出は全くない。だが、不思議なことにこちらの方が臨場感があり、迫力もある。
また、新作のヒロインはイケイケ美女(DJ)だったが、本作のヒロインはオドオドしていて、決して美人ではない。個人的には当然後者にシンパシーを感じてしまう…。お互いの距離が縮まる過程の描き方も後者の方が魅力的だ。
こうして見ると本作と新作ロッキーは正反対な話なのだなあと思った(新作がまるっきりダメというわけではない。シナリオはよかった)。根底にあるものは同じなんだけどね。

【追記】
エイドリアンってブロンドのセクシー美女かと勝手に想像していたが、全く違った。素晴らしい。ロッキーの服装がいつもボロボロなところもいい。デートなのにタンクトップに穴空いてるしね。トレーニングにコンバースは足首痛めるのでは?と心配になったんだけど、大丈夫なのかな。とにかく細部まで完璧な映画だ。