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ロッキーのGONのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
5.0
【2020/8/7 再鑑賞】

僕の人生を変えてくれた映画のひとつ。

そんな思い入れたっぷりのこの作品を2年半ぶりに再鑑賞しました。

初見時とは自分の置かれた状況とかがまるで違うからひょっとしたら評価落ちるかも?って心配してたけど、それは杞憂でした。 超最高だよ…

2年半前、ちょうど受験生だった自分が勉強の休憩がてらにTSUTAYAで借りて見た映画がロッキーでした。
ロッキーの心情やその勇姿、そして作品そのもののテーマ性が当時の自分自身に深く突き刺さり、半分諦めかけていた高校の第1志望への受験勉強を努力するきっかけを与えてくれました。
ロッキーに出会ってなかったら今頃行きたくもないクソ田舎の学校に行ってたんだろうな…とか思うと冗談抜きで僕の人生の転換期になった作品です。
と自分語りはこれくらいにしておいて、ロッキーの解説をしていきましょう。


《スタローンとロッキー》
この作品の脚本って、本当に上手くできてますよね。まるで魂が込められてるみたいに。
それもそのはず、ロッキーというキャラクターはスタローンが歩んできた人生そのものなんです。何をやっても成功せずに、いつも馬鹿にされる。
実際にスタローンは大学中退後俳優になろうとオーディションに50回落ちたり、金が無くなってホームレス生活をしたりと散々な生活を送っていたスタローン。そこからあるボクシングの試合に触発された勢いでわずか3週間でロッキーの脚本を書き上げ、アメリカンドリームを体現する彼の信念の強さよ。
ロッキーという映画が自分にとって人生をかけた大勝負であることを指す「最後のゴングが鳴ってもまだ立ってられたら、俺がゴロツキじゃないことを初めて証明できるんだ」という劇中でのセリフが非常に印象深いですね。あのシーンは僕も思わず泣きそうになりました😭
スタローンが製作会社に「脚本力はタダでいいから俺を主演にしてくれ」と懇願したのも頷けます。
ロッキーは、それまで数々の屈辱を味わってきたスタローンだからこそ最も心情を理解し、演じれたオンリーワンのキャラクターなんです。

《制作秘話》
ロッキーは名作と呼ばれている映画の中で最も製作費が無く、苦労した作品でしょう。
当時ヒットしたハリウッド映画の製作費といえば『ゴッドファーザー』で600万ドル、『スターウォーズ』なんて1100万ドルです。それと比較して、ロッキーの製作費はなんと100万ドル。当時のTVドラマたった1話分の製作費らしいです(笑)そこまでしないと製作会社が映画化を認めなかったと考えると、本当に期待されてなかったんでしょうね。ハリウッドの重鎮であるマイク・メダヴォイ氏は当時脚本を読みもせず突き返したのだとか。
ロッキーとエイドリアンがスケートリンクでデートするシーンも本来は大勢の人が賑わっているという設定だったけど、お金が無さすぎて閉店後のスケートリンクで滑るという逆転の発想で乗り切ったり(そのお陰で元の設定よりもより深く、美しいシーンになったのは凄い!)、ロッキーとアポロの試合場で観客を集める金が無かったから老人ホームの老人達に参加してもらったり、フィラデルフィア市民達に「参加したらチキンをあげるよ!」と宣伝をして無理やり掻き集めた、という苦労の末に生み出された名シーンがこの作品には数多くあります。

《音楽の力》
鑑賞後は誰もが口ずさむであろうロッキーのテーマ。はっきり言って、ロッキーが名作と呼ばれている理由の5割は音楽家:ビル・コンティの存在があったから。
オーケストラ39人の内6人ものトランペット奏者がおり、「私の欲しいサウンドは6人必要なんだ。それ以下だとファンファーレが響かない」と彼自身が発言していた通り、彼なりの強いこだわりがあり、曲中のコーラスもコンティの妻の同僚達に歌わせるという異例の方法を取り入れたと言う。 スタローンや製作会社のみならず、音楽家も人生の全てをかけたからこそ生み出された名曲なのです。

《ラストシーン》
映画史上に残るロッキーが「エイドリアアアアアン!」と叫び2人で抱き合うラストシーン。
ネタバレするとラストでロッキーは試合に判定負けしちゃうんですが、実はこれ、勝つバージョンがあったんです。
製作者達も勝つバージョンか負けるバージョンかで激論を繰り広げたらしいですが、最終的には負けるバージョンが採用されることに。
その理由は勿論、この作品が負け犬が栄光を掴み取るという単純な成功物語ではなく、”勝つことが全てではなく、逆境に屈せず努力をすることの大切さ”というものを訴えたかったからです。
その結果作品は大成功。正直ラストでロッキーが勝ってしまっていたら、この作品は今日まで受け継がれる名作にはなっていなかったでしょう。


真っ直ぐ心に突き刺さるメッセージ性と感動。
金は無いけど夢があり、それを実現させる。
まさにハリウッドに残る伝説であり、米国建国200周年に公開されたこの作品は今なお多くの人の心を掴み、奮い立たせる。

人生は必ず打ちのめされる事があるけど、大事なのはそこから再び立ち上がることだ。
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