茶一郎

カルネの茶一郎のレビュー・感想・評価

カルネ(1994年製作の映画)
3.3
『 9秒間の快感のために、子は60年の苦悩を強いる 』

 カルネとは馬肉のことを指すらしい。
 ATTENTIONと注意文が出たかと思うと、画面上の馬は殺され、内臓を抜かれ、首を切られ、皮を剥がれ、そして馬肉となる。今作「カルネ」「カノン」そして「アレックス」の冒頭に続く馬肉屋の主人公の物語。

 赤が基調のその画面、陰鬱なストーリーは、40分という短い時間とは思えない程、早く、そして観客の神経を鋭く攻撃する。娘の養育を強いられたその男は、娘を愛するが余り距離感を失っている。その日常的な様子が何とも滑稽で、おそらく誰もが抱くであろう『父親』という存在への疑問、『父親』の存在意義を改めて見直す機会となる作品だった。

 馬の肉を食べるという文化はどうにも聞き慣れなかったが、調べると馬肉料理屋はたくさんあるよう。思い返すと、昔、缶詰の馬肉を食べたことがある気がした。
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茶一郎

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