「売春婦として君を買い、報償として"自由"をやろう」
なんて演劇的なセリフ。リアルでは絶対言わないような言葉だろうけど、物語の中ならこんなに際立つ。
この映画はピューリッツァー賞受賞の戯曲(演劇台本)を豪華キャストで映画化したもの。
ジュード・ロウも出てるし、男女4人の恋愛模様ってパッケージに書いてるので、「ホリデイ」を連想したけれど、
あっちがハートウォーミングなら、こっちはハートブレイク。
もともとが舞台なだけあって、セリフ中心の会話劇。
お互いを突き刺すセリフの連続。
4人の男女は、言葉のナイフで互いに互いのとどめを刺そうとしているかのよう。
それもこれも、自分の望む愛を手にするために、我を押し通そうするから。
みんな、それぞれに卑怯で、それを自覚してる。
ダン(ジュード・ロウ)は一見我儘なクズ。
でも、自分でも理解できない自身の欲求にフラフラと弄ばれている可哀想な人。
アンナ(ジュリア・ロバーツ)は冷静なフリで自分も他人も騙してる。
というか、自分の心を理解していないのかも。
その結果周りをムダに傷つける。
ラリー(クライブ・オーウェン)はアンナ一筋。
アンナを得るためには、どんな策でも弄する。
卑怯だけど信念の人。
注目はナタリー・ポートマン演じるアリス。
彼女はストリッパー。
しかし、その職業に反して4人の中でもっとも汚れ知らずで、正直者。
気持ちは隠さず、要求はストレート。
綺麗事は言えても行動が伴わない3人と違って、そもそも綺麗事を言わない。
だからこそ、一番痛手を負うのも彼女だったりする。
それぞれが自分の愛を押し通そうとして消耗していく姿にリアリティーを感じる。
個人的に一番好きなキャラはラリー。
ダンにアンナを奪われた後の行動と駆け引き、奪い返した後のダンとのやり取りには痺れる。
クソ野郎だが痺れる。