風の旅人

クローサーの風の旅人のレビュー・感想・評価

クローサー(2004年製作の映画)
4.0
群衆の中で一際目立つ赤い髪の女に男は目を奪われる。
女も男に気づき、視線を交わした次の瞬間、女は交通事故に遭う。
近寄った男に女は、
「Hello stranger(ハロー、見知らぬ方)」
と第一声を放つ。

どんなカップルも最初は赤の他人。
あの日あの時あの場所で出会わなかったら、ダン(ジュード・ロウ)とアリス(ナタリー・ポートマン)は恋人同士になっていなかった。
しかしそんな「運命的な」出会い方をした二人でも、愛が永遠に続くとは限らない。
人を好きになると、相手のすべてを知りたいと思うけれど、中には知らない方がいいこともある。
「真実」なんていう形而上学的な問いに囚われたばっかりに、ダンは愛を失った。
ダンが小説家志望のジャーナリストなのは皮肉。
言葉をいくら重ねても、愛には辿り着けない。
逆にダンの悪戯が原因で出会ったアンナ(ジュリア・ロバーツ)とラリー(クライヴ・オーウェン)は結婚し、動物的な肉欲で結びついている。
一度はダンに傾いたアンナの心も、ラリーは体の関係で繋ぎ止めようとする。
心という本来所有できないものを欲したダンと、あくまで人間を肉体として捉えた皮膚科医のラリー。
この差異が最終的に明暗を分けることになった。
風の旅人

風の旅人