Jun潤

ルパン三世 カリオストロの城のJun潤のレビュー・感想・評価

5.0
2022.09.21

何度かテレビ放送などで見たことはありましたが、クラリスの結婚式を記念して劇場にて再上映ということでこの度再鑑賞です。
あの名シーンやあの名セリフを劇場で見聞きできるとなれば期待度はゴリゴリですよ。

今作は『ルパン三世』シリーズの劇場版第二作目にして、今や日本を代表する監督の筆頭と言って差し障りのない宮崎駿の長編映画監督デビュー作。

世界を股にかける大泥棒・ルパン三世と相棒の次元は、国営カジノの大金庫から5億円もの大金を盗み出すが、その札束が全て伝説の偽札とされる「ゴート札」であることが判明する。
次の標的を「ゴート札」の総本山であるカリオストロと決めたルパンらは早速入国するが、直後謎の一団に追われる花嫁と遭遇。
無事助け出すもすぐに追手に追われ花嫁は姿をくらます。
彼女が残した指輪に、かつて出会った少女のことを思い出したルパンは、カリオストロの城に潜入することを決める。
かくして、壮大な謎と陰謀を秘めた古城を舞台に、壮大なミステリーアクションが繰り広げられる。

これはもう言うことなしの大傑作ですね!
ルパンを始めとした超有名大人気キャラクターが、宮崎駿の手によってスクリーン内を縦横無尽に駆け巡っていました。

やはりなんと言っても演出の力強さですね。
1979年公開という、もう40年以上前の作品なのに、いやだからこそ、今でも通じる王道のストーリーやキャラクター、後の宮崎駿監督作品やジブリ作品に繋がる描写もあって、作品自体の観応えも去ることながら、昨今のアニメに連綿と受け継がれる日本産アニメーションの源流を感じました。

今作で印象に残った点といえばやはり突き詰められたカッコ良さでしょうか。
ルパンの普段はおちゃらけて軟派な態度から、決める時は決めて大人の男の色気をダダ漏れにする姿には男でも惚れますよ。
他にもコミカルに見える動きでも、結果的に全体で見るとカッコ良く仕上がってしまう描写は、『ルパン三世』が持つブランド力の強さからか、宮崎駿の手腕が成せる技か。

「またつまらぬものを斬ってしまった」
「さっき俺がここに来なかったか!?バッカモーン!そいつがルパンだ!」
「あいつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」
一度聞いたら記憶の奥深くに克明に刻み込まれるセリフの数々も作品の魅力の一つですね。
聞くと心の中でガッツポーズを取ってしまう、ついつい口ずさみたくなってしまうのは、それだけセリフを発するキャラが生きているということでしょうね。

そしてキャラクターもとても良い。
囚われのお姫様・クラリスとルパンの過去の繋がりや悲壮感が漂う儚げな彼女の表情、いかにもな悪役の伯爵とゲストキャラもさることながら、メインとなるルパン一味たちが本当にザ・理想のチームでした。
上述の通りカッコよさと愛くるしい魅力に溢れたルパン、頼れる相棒の次元と五右衛門、味方でもないけど敵でもない、妖しい魅力を醸す不二子ちゃんに、ルパンの生涯のライバルでありながら利害が一致すれば、手を組んで抜群のチームワークを発揮する銭形警部と、宮崎駿が一から作り上げたキャラクターなんじゃないかと錯覚するほどに、キャラを動かしていた、キャラが自由に動ける土台が創造されていました。
Jun潤

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