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ルパン三世 カリオストロの城のcatmanのレビュー・感想・評価

5.0
最高の冒険活劇。始まりから終りまで全てが印象深い名シーンの連続&連続。どこを切り取っても名場面。ひとつひとつお気に入りを挙げたいけど、それをしたらキリが無い。

絵が、動画が、色彩が、ディテールへ及ぶきめ細かい描写が素晴らしい。作画家の筆致がそのまま感じられるアナログの味わい。これこそ職人の技。画面を三次元的に駆け回り飛び回るキャラクターとビークル。アニメと言うよりアニメーション。奇才宮崎駿と並んで、アニメーター・大塚康生(&テレコムスタッフ)を抜きにこの大傑作を語ることは出来ない。私にとっては彼こそが日本アニメ界の至宝。

主要キャストの演技も本当に素晴らしい。ブラボー!山田康夫=ルパン。呟く一言一言が名セリフとなって耳に残ります。小林、納谷、増山、井上らレギュラーによる鉄壁の布陣に加えて、石田太郎(伯爵)も永井一郎(ジョドー)も完璧な配役!宮内幸平(庭師)の安心感も半端ない。

そして大野雄二!映画史に残る序盤のカーチェイスは、ダイナミックなアクションとジャジーなビブラフォンの組み合わせが堪らなくCOOLでオシャレ。「オートジャイロを奪う気だわ!」のシーンに流れるサンバ・テンペラードのなんとスリリングなことよ。トロンボーン・ソロに鳥肌が立つ。ホント名シーンばかりでキリが無い。

ただ… 自分がルパンや銭形よりも年長のジジイになった今、クラリスが絡むシーンには若干の居心地の悪さが。昔はそんなこと無かったんだけど。宮崎駿の少女趣味がちょっと苦手なんだよな。不二子の描き方が弱いのも残念ポイント。それとラストの「奴はとんでもないものを〜」って銭形のセリフもあまり好みじゃない。キザ過ぎる。とっつぁんがウィンクなんてしたらアカン。それよりもトラックの荷台からクラリスに手を振るオマワリさんたちに涙腺を刺激されるのは歳のせいか。

とはいえ本作自体にケチをつける気は全くありません。老若男女すべてにお勧めの、黒澤明と比肩しうる、世界に自慢したい日本の傑作映画。
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