もやし

アカルイミライのもやしのレビュー・感想・評価

アカルイミライ(2002年製作の映画)
4.7
黒沢清監督です!
結構病んでるときとかは響くかも。俺は今日というタイミングで見たから響いたなって感じ。
元気なときに見たら何だこれ?ってなるだろうし、語るとしても現代の若者の意味わからなさに言及するに留まるか、あるいはいつもの黒沢清独特の撮影手法に言及するしかない感じ。

かといって抽象論で話そうとするとあまりにもテーマが深すぎて無理です…笑




あらすじと予告から読み取ると主人公のオダギリジョーが見るからに刹那的な若者で、実際その通りなんだけど、「こういう若者って意味わかんないよねー」で終わらせる気は全然ないのは伝わってくる。
この種の意味わからなさってどの年代も、どんな人も、必ず持ってるよねって。出てくる登場人物皆ちょっとわからなくて怖い部分がある。でもそれを単に怖い、意味わからないで片付けるのは違うのかなって。
一見どんなに理解不能でも、一人一人に生き方ってものは必ずあって、それを探ろうとする姿勢が大事なのかなって。
そういうのを探ろうとしてくれる他者ってやっぱりとても大事だよねっていう当たり前のことだけど大切なこと。それがヒューマニズムというか感動に繋がっているというか。

そうやって深掘りしていった末にこう「アカルイミライ」というタイトルをどんと出されると、これからの世の中の未来にまで目を向けてる超欲張り映画なのかなとこちらも深読みしすぎてよくわからない気持ちになる。実際真正面から見ると単に意味不明で片付けられても全然おかしくない映画なだけに、変わってる映画だなーって。

この映画の年代の後にはゆとり世代であったりさとり世代であったりが登場してきて、若者像ってものにかなり変化は出てきてるとは思うけど、そもそも若者像を中心には描いていなかったので、今見ても良かったです。


今思ってることに忠実に生きるという主人公の醸し出すその感じに、特に批判的な視点がなかったというか、むしろそれは悪じゃないよとあえて示してくれたのは今の自分には少し救いになりました。
もやし

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