GreenT

セックスと嘘とビデオテープのGreenTのレビュー・感想・評価

3.0
ジェイムズ・スペイダー、やばい。こんな男に「ビデオ撮らせて」って言われたら断れない!

なんだろ、この吸引力。こういう繊細な男って惹かれてしまうし、セックスの話をするのもリラックスしちゃう。ビデオ撮られても、絶対公開しないだろうって信用できちゃう。

その対極にいるのがジョン(ピーター・ギャラガー)。やり手の弁護士で、大金を稼いでいて、奥さんは美人、家はデカい。「結婚指輪をするようになってから逆に女にモテるようになった」なんて言う男。奥さんは貞節で奥手な女なのに、浮気相手は自由奔放で刺激的な女!

奥さんのアン(アンディ・マクダウェル)は、なんの不自由もなく幸せなのかと思いきや、精神科医のセラピーを受けている。潔癖症で家のゴミとかやたら気になるみたいなんだけど、性的にも潔癖すぎてオナニーもしたことないし、セックスも好きじゃない。

アンの妹のシンシア(ローラ・サン・ジャコモ)は、いわゆる「自由奔放な女」で、姉の旦那と寝ることも厭わない。バーテンダーとして働き、セクシーな服装をし、ジョンの仕事中に呼びつけてセックスしたりする。

ジェイムズ・スペイダー演じるグレアムは大学卒業後、放浪生活をしていた。9年ぶりに街に帰ってきて、大学の友人だったジョンのところにしばらく居候することになるのだが、そのせいで微妙にバランスを保っていたアン、ジョン、シンシアの関係性が変わってしまう・・・・

グレアムは過去の恋愛のトラウマのせいでインポで「他人の前では勃起できない」。だけど、女性がセックスの経験を語る様子をビデオに撮り、それを観る時は勃つし機能する。

グレアムはビデオを観る時、素っ裸で観てるんですけど、これがなかなかソソるんですわ。普段は黒いワイシャツを着ているんだけど、この服装もすごいセクシー。なのに性的に危険な匂いがなく、心を許してセックスの話をしたり、シンシアのようにオナニーしてしまいそう。

アンやシンシアが訪ねてくると、必ずアイスティーでもてなしてくれるし、時々洗い物とかしているところも良い!

普通、エロビデオって言ったらセックスしているビデオだけど、グレアムが観るのは女の子がセックスの話をしているビデオなので「この映画は、性的な興奮っていうのは行為そのものではないって言ってる」って言う人がいて、なるほど〜って思った。アンがセックスにそれほど関心がないのも、ジョンがセックスを肉体的にしか捕らえられないからなのかも。

ジョンは典型的なマッチョタイプなので、グレアムみたいな繊細で内向的なヤツに負けるのがすごい悔しいみたいなんだけど、この人は最後、改心しないみたいですね。

アンはいい子いい子で育てられて、セックスに対する罪悪感も強いので、自由奔放な妹のシンシアに嫉妬しているんだけど、シンシアは完璧なお姉さんに敵わないからわざと悪ぶっているってことが、グレアムのビデオでは露呈されたりする。

これすっごい話題になったけど、やっぱアメリカって、言われていたよりも保守的で、こういうセックスに対する色んな洞察を赤裸々に描くっていうのが珍し国だったんだろうなあって思った。「ヨーロッパの映画みたい」って言われていたらしいけど、ヨーロッパの方がセックス描写とか自由だもんね。

ストーリーはあんまりなくて、ほとんど4人の全く性格の違うキャラクターたちの人間観察的な映画なんだけど、iMDbの投稿を見ても、「これは人のセックス感を描く映画だ」「これはセックスではなく、人間関係を描いている」「これは結婚に対する洞察だ」などなど、同じことを言っている人がほとんどいない。それだけニュアンスの表現が多くて、観る人によって色んなとり方ができる映画なんだろうなあって思った。

私はとにかくジェームス・スペイダーのエロいのに全く威圧感がないこの魅力、良くこんな雰囲気を醸し出したなあとそれに魅了されまくりでした。
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