きりん

男はつらいよ 純情篇のきりんのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)
4.5
1作目から見直そうと始めた寅さんレビュー。4K画質版の男はつらいよがタイミングよくBSで毎週順番に放映されていてとっても嬉しい。
この機会に多くの人に見てもらいたいなあ😊

男をつらいよを見続けて柴又が故郷のようになってきた自分にも響く言葉が多かった第6作目。
話数を重ねるごとにどんどん味がでるので、毎回どんな寅さんが観られるんだろうとワクワクする。

お馴染みのメンバーの立ち位置も板に付き、寅さん節も炸裂。てんやわんやの面白さもありながら、序盤の哀しみも前向きな道へ踏み出せたのが良かった。

今作では寅さんの郷愁が旅路の果てから遠く想う視点とは違って(それもまた渡世人を描く良さだが)、
故郷柴又は、寅さんが心からいつでも帰れる居場所という温かなテーマを最初から最後まで感じられて好き。

さくらは本当にいい子でいつでも兄である寅の帰宅を喜び、寅を叱り、取りまとめてくれる。

いつも本気で正直すぎるから衝突しがちなとらやの面々(主に寅)。
だが周囲の家庭はとらやを見て羨ましく思う。遠慮して言葉を飲み込んでばかりではなく、ぶつかりあっては許し合うあたたかさを。


「あのねお兄ちゃん、
つらいことがあったらいつでも帰っておいでね。」

これは兄に向けては勿論のこと、
観客へもそう言ってくれてる気がして嬉しかった。第二の故郷柴又。


◇商売人仲間内の挨拶◇
(続きも全部聞きたかったなあ!マドンナの前で披露する寅が、まるで好きな先生に特技を披露する子供のような愛嬌で微笑ましい)

私 生まれも育ちも葛飾柴又です
帝釈天で産湯をつかい 根っからの江戸っ子
性は車 名は寅次郎
人呼んで フーテンの寅と発します

私 不思議な縁 持ちまして
生まれ故郷に わらじを脱ぎました
あんたさんとご同様 東京の空の下
ネオン煌めき ジャンズ高鳴る花の都に
仮の住居まかりあります
故あって 私 親分一家持ちません


◇6作目登場の啖呵たち◇

タコはイボイボ
ニワトリはハタチ
イモムシは十九で嫁に行くときた。
黒い黒いは何見てわかる
色が黒くて貰い手なけりゃ
山のカラスは後家ばかり。
ねぇ 色が黒くて食いつきたいが
あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやかった
どう!まかった数字がこれだけ!
どう!一声1000両と行きたいが おい、ダメか!800!600!ようし!
腹切ったつもりで 500両持ってけ!



ご通行中の皆様 新年明けましておめでとうございます!
お客様 どうぞ今年もよきお年でございますように。
さて ここに陳列されましたる幸せを呼ぶ鶴亀でございます。
鶴は千年 亀は万年
あなた百まで わしゃ九十九まで
共にシラミのたかるまで。

三千世界の松の木が枯れても
お前さんと添わなきゃ シャバに出た甲斐がない。
七つ長野の善光寺
八つ 谷中の奥寺で、
竹の柱にカヤの屋根
手鍋下げても わしゃいとやせぬ。
信州信濃の新ソバよりも
わたしゃ あなたのそばがよい。

あなた百まで わしゃ九十九まで
共に白髪の生えるまでというのが本当!
もし!もしこれで買い手がなかったら、
本日貧乏人の行列と思って諦めます!
きりん

きりん