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バンビのwtson322のレビュー・感想・評価

バンビ(1942年製作の映画)
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序盤から草木をかき分けて徐々に動物たちのすみかに寄っていく視線は、「キリストとマリア」であるバンビと母鹿、崇高な後ろ姿を見せる雄鹿を捉えて引いていく。森の動物たちのヒエラルキー、その頂点に立つ鹿の神聖さを示す象徴的なシークエンスである。
動物たちの挙動のリアルさもさることながら、彼らの過度にカリカチュア化された表情は、特にセクシュアルな場面において「動物」に「人間」の恋愛的感情、ジェンダーを重ね合わせることで、作品の受け手である人間があくまでも優越している、という視線を考えさせられる。そして作品を彩る音楽とアニメーションの親和性に関しては、ディズニー天晴れという他ない。
また、テーマとしては普遍的な「ヒーローの成長譚」であるものの、そのヒーローの孤独さと、ヒーローを支える「家族」的なものへの信頼が両立して描かれている点も興味深い。
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