メランクさん

ビー・デビルのメランクさんのレビュー・感想・評価

ビー・デビル(2010年製作の映画)
5.0
もう10年くらい前になるのだけど、
園子温がTwitterアカウントを持ってて
私がどうでもいいツイートにメンションつけたら、
酒飲んでる園氏がからんできてですね、
その流れで今作はすごいと言及してたんですよ。

しかしなかなか見る機会がないままでいたんですが、またもやU-NEXTですよ!
ついに見ることができました!

そしてこれが本当にすごい作品でした!
監督がこれっきり撮ってないために
後続の素晴らしい作品に埋もれてる感じですが、
これまで見てきた数多の韓国暴力系映画に全く見劣りしないどころか、
こういう描き方があったかと驚きました。

まず興味深いのは主人公の立ち位置かなと。
オープニングからひたすら不穏なソウル描写なんだけど、
社会のせいとも言い切れぬ主人公の振る舞いがあり、
それがどう島で爆発するのかと思って見てても、
なかなか爆発してくれない。
というか、なんか島民間の関係性がどきつくて、
主人公はその中に巻き込まれる気配がない。
どうやらこの人は爆発しないっぽいと感じてくる。

案の定、主人公ではなく幼馴染が爆発し、
いよいよ島民が皆殺しになっていくのだが、
その幼馴染が主人公をどうするのかがわからない。
この辺りのぼかし方は後々考えるとうまかった。
なんとか主人公は島を脱出して、
なんか主人公の立ち位置微妙だったなぁ〜と思ってたところで最後の展開!
ここまでの運び方が本当に秀逸!

幼馴染が一人で不条理の捌け口となり、
しかも無防備な主人公の盾にもなっている。
なぜなら主人公こそが希望であるからなんだけど、
その希望である主人公が決定的な裏切りをすることが、
幼馴染が暴れ出すトリガーとなる。

とは言え幼馴染にとって主人公は大切な存在で、
そこが最後に本当に痺れるエンディング。

マジで園子温、間違ってなかった!
これは本当におもしろかったわ〜!