takanoひねもすのたり

ビー・デビルのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ビー・デビル(2010年製作の映画)
3.9
ソウルの銀行員ヘウォンは職場でトラブルを起こし休職になり故郷で過ごそうと帰省する。
そこは過疎化した離れ小島。
幼馴染みボンナムと久しぶりの再会。
しかし少しづつこの島の異常さに気が付き始めるという韓国ホラー。

ヒロインのヘウォンが冷淡な性格で微塵も好感を持てない反面、幼馴染みのボンナムは日焼けした顔の素朴な農家の嫁という雰囲気。しかし閉鎖的で男尊女卑な村社会の常として虐待を受けていた彼女。虐待描写はキツかった…。

ボンナムは娘のためにある事をヘウォンに頼むが無下に断られ仕方なく自力で実行したところ更に悲劇が。隠蔽体質の村社会の胸糞悪い連帯とヘウォンの見て見ぬ振り発言。
農作業中にふと太陽を見上げてボンナムが遂に正気の境界線を越えた描写の見せ方が巧い。
鎌を手に凶行に走った瞬間「クソ共全員やっちまえー!」と全力で応援。

血飛沫はあるけどゴア描写はボチボチ。
しかし、めった刺しの後で味噌漬けとか彼女の狂い様が秀逸。
ヘウォンを追い本土の交番で殺害しようとするボンナムの真っ白なワンピースが血塗れになっていく様も良い。

ボンナムへの虐待はヘウォンも見て見ぬ振りだったが、冒頭ソウルの街中で暴行を受ける女の子も通りに人や車が溢れているのに誰もが素知らぬ振り。
傍観者の立場の卑怯さは都会も田舎も同じな皮肉。

虐待描写や村社会の陰湿さなど、精神的にキツい内容なので、見返すことは当面出来ないけど、よく出来た作品だと思いました。
あと本当に島民がいい顔揃いでクソ共オーラが顔からぷんぷん出てた。