広島カップ

戦争のはらわたの広島カップのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
3.9
漢字を使って書くと「はらわた」は"腹わた"ではなく"腸"になります。
でも"腸"は普通はチョウと音読みしてしまうので戦争の腸(チョウ)って何処だ?となってしまうし、サム・ライミのホラーの名作なども「死霊の腸」(1981)になってしまい一瞬解剖学の映画かな?と思ってしまいます。
なのでこの手の作品は平仮名で"はらわた"ということで邦題になるのでしょう。

原題が"CROSS OF IRON"なのにこの邦題になったのにはやはりこの作品の中身が大きく影響していると思われます。

戦争が大好きで戦場が我が家の本作の主人公ドイツ軍曹長シュタイナー(ジェームズ・コバーン)は、上映中ずっと続いているのではないかという気がするくらい凄まじいくらいに爆弾が破裂し、物が壊れ死体が転がり、銃弾が飛び交い、ついでに兵隊がスローモーションで飛んで行くロシア戦線で獅子奮迅の働きをし部下の信頼も厚い人物。

しかし彼は「はらわたが腐った」上官に対して「はらわたが煮えくり返って」いるし、たまに見せる優しい心持ちも戦争の非情さの前には見事に裏切られ「はらわたが千切れる」思いも戦争に対して抱いています。

少し意外な気もしますがサム・ペキンパー唯一の戦争映画である本作は、人間にとって極めてストレスフルな戦争というものをこの人物を通して描いています。印象的なラストのシュタイナー曹長の高笑いは、彼の心身保全の為に必要な行為、つまりストレス解消の為に自然に起きた生理的に必然の行為だったのではないかと思います。大笑いでもしてなきゃヤッてらんないよ!ということでしょうか。
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