うめ

戦争のはらわたのうめのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
4.0
サム・ペキンパー。
彼が描き出す狂気に打ちのめされる。

ジェームズ・コバーン演じるシュタイナー軍曹。
部下思いであり一流の軍人である彼だが、上官であっても遠慮がないという一面も持つ。
それが、南フランスから赴任してきたプロイセン貴族シュトランスキーとの間に軋轢を生む…
名誉に目もくれないシュタイナーと名誉にとらわれたシュトランスキー。
プライドと欲にまみれたシュトランスキーに対し、生粋の軍人として我が道を生きるシュタイナーの生き様は格好いいように見える。
だが、そんな彼に殺される人もいるのだ。
彼の言動で失われる命もあるのだ。
いろいろなものを奪っているという意味では二人とも変わらない。
戦争は、奪うだけなんだ。

もう戦場以外では生きれないシュタイナー達。
殺し殺される世界だけ…
一度狂ってしまった歯車は、もう戻る事はない。
それを紛らわせるように、歌う軍人達。
流れる「ちょうちょ〜ちょうちょ〜」
無垢だった幼い頃を感じさせる。
滲む虚しさ、愚かしさ、悲しさ。

タイトルも最初は?と思ったけど…
ペキンパーだし、大仰な言葉よりも「はらわた」って響きが合っていると気がする。
ラストのペキンパーらしいインパクトが凄まじかった。
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