『戦争のはらわた』(原題は「鉄十字勲章」)って邦題、エグいですよね…。まず、『死霊のはらわた』みたいに腹わたがブシャーーッ、という映画ではありません。その点なら『プライベート・ライアン』や『ハクソー・リッジ』の方がよっぽどエグいです。
でも題名に「はらわた」とつくだけあって、この作品には「戦争の性根」、つまりは「人間の性根」がグロテスクに描かれています。
ドイツ軍人にとって最高の名誉である鉄十字勲章を手に入れたい大尉然り、英雄だけど戦争に取り憑かれた曹長、性欲を抑えられない兵隊など、人間の根底に渦巻くさまざまな欲望が作品の中に満ちています。
戦争。それは欲望を抑え切れない浅はかな大人たちが引き起こす愚の骨頂。
それをせせら笑うかのようにOPで流れる子どもたちの歌。「今やっていることは自己の欲求を抑えられない子どもと同じレベルのことなんだよ」と揶揄しているかのよう。
戦争映画の中でも「人間の性根」に焦点を当てた傑作の一つだと思います。