さすらい農場

戦争のはらわたのさすらい農場のレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
5.0
原題 : Cross of Iron (鉄十字)
バイオレンスの巨匠サム・ペキンパー監督、唯一にして【最も恐ろしい】戦争映画
激しいバイオレンス描写ですが、プライベート・ライアンほどの生々しさは有りません。何しろ40年以上前の作品です。
当然CGなんて無い時代だから、爆風で人が飛ぶシーンは、本物の爆発と同時に人を飛ばすしか無かったわけで、たいへん危険な撮影だったと思われます。まさに命がけ。

過酷な戦場に生きるドイツ軍小隊
歴戦の勇者でありながら、人間らしさを失わないシュタイナー伍長の[高潔さ]
鉄十字勲章に固執し、自分の名誉・昇進の事しか考えていないシュトランスキー大尉の[卑小さ]が際立つ。
戦場の非情さ、醜くさが鮮烈です。
エンディング後、劇作家ベルトルト・ブレヒトの一節が重く響く。
これを過去の物語と思うな!と強く訴えています。
[愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ]とは初代ドイツ宰相ビスマルクの言葉

戦争を起こすのは、自身の名誉しか考えない人物。ただの自意識をプライドと履き違えた愚か者であると、断言する映画なのです。