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父 パードレ・パドローネのRのレビュー・感想・評価

父 パードレ・パドローネ(1977年製作の映画)
4.6
父と息子の間の長年にわたる確執をタヴィアーニ兄弟独特のシュールなユーモアと詩情で描いたとても感動的な映画。この度3回目見たけど、今まででいちばんハートに響いた。冒頭、映画の基になった自伝の原作者である言語学者、その人が登場し、彼のナレーションをイントロに不遇の幼年期へと誘われる。ある日、小学校の授業中、突然父が教室にずかずか入ってきて、息子のガビーノを無理矢理うちに連れて帰る、山小屋で羊の番をさせなければ、他の用事が何もできなくなるのだ。彼らはイタリアの島で羊飼いとして貧しい生計をたてて暮らしてる。父は家長としての権威と暴力でガビーノを服従させ、羊飼いとして生き方を身体で覚えさせる。そんな父に言いなりの生活の中で、それなりの娯楽・快楽をオナニーに見出すシーンや、羊の乳をせっかく絞ったバケツの中にポポポンと糞を落とされるシーンなど、オフビートなユーモアがちりばめられてて、あと、周りに住んでる子供たちもみんな同じような暮らしをしてるのをさらっと描いたり、脇役や動物の心の声をナレーションで語らせたり、と前半は面白い演出が続いていく。で、途中でガビーノは青年期に入り、家計がいよいよヤバイから軍隊に入ることになるのだが、方言が酷すぎるため標準語を覚え始めることになり、そこから言語学を追究する願望が生まれる。しかし、父はそんなガビーノの意志を挫き、伝統的な羊飼いの生き方を強要しようとする。後半でとても興味深いのが、ガビーノが言語の学習に向かうようになったキッカケ。あーこういうのを宿命と呼ぶんだろうなー、と思った、感慨深すぎ、結局そこに帰ってくるんやね、そして、父に、オレはもう羊飼いはやめる!と言い放つシーン。これからは毎日12時間勉強するんだ! って。めちゃめちゃ良かった。そうなのだよ、そんくらい勉強しなかったら何事かを極めることなんて無理やねんな。胸が熱くなった。で、最後に、父の心の奥底にある気持ちが、ほんの一瞬、ほんの一瞬だけ、ほんとに一瞬なんだけど、ふわって出てそれをグッと抑える。あの、悲しさ、あの、人生の深い苦み、そして愛の切なさが全身にきゅーーっと沁みまくった。からのエピローグ兼プロローグ。難しい愛。愛の難しさ。涙が出た。ドラマチックすぎる。何事にもとらわれることなく、まっすぐ愛のために生きられる人生を、人間は生きるべきだと思ったよ。けど、それが出来ない人たちもたくさんいる。それがとても哀しかった。ううう。すごくいい映画だった。