米粉

鉄砲玉の美学の米粉のレビュー・感想・評価

鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)
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26歳最後の日は、愛する渡瀬恒彦に捧げた。
昨年はラピュタ阿佐ヶ谷様の「渡瀬恒彦狂犬ナイツ」という神企画に足繁く通い、全9作品中8作品を制覇。
1回だけ風邪をひいて観られなかった作品こそがそう、「鉄砲玉の美学」
ソフト化されていないため、こういった上映がない限り観ることができないレアな作品で、今回新文芸坐様の企画によりようやく鑑賞することができた。
もう金輪際、新文芸坐様の方角に足を向けて寝られない。

「鉄砲玉の美学」というタイトル。
とてもじゃないけれどそんな美しいお話ではなく、かっこ悪く生きてかっこ悪く死んでいった一人の男の話。
観た後にはこのタイトルが痛烈な皮肉だということが分かる。
主人公の清は風俗嬢の家に居候し、しばしば金をせびりDVを繰り返すような男。
恒彦はこういうクズ男を演じるのが本当に上手い。
思い返せば仁義なきはもちろん、野村芳太郎の「事件」も良かった。
タバコを咥えハジキを手にし、「わいは天佑会の小池清や」と鏡の前で凄むシーンなんて小物感満載。(タクシードライバーの元ネタだったりするのかな?)
一番かっこよく言えた時に「これやこれや!」って大喜びする姿は、何だかクズなりに憎めない奴だなぁと。
鉄砲玉は出入りのきっかけを作るいわば特攻隊のようなもんだが、度胸がないためでっかく弾けられない。
特に小池朝雄とのシーンは、プロの凄みを見せ付けられ役目を果たせないことへの焦りがよく表れていた。
ラスト、スクラップ工場で清が霧島を見つめるシーンは正直ちょっと泣いてしまった。
こんなに切ないお話だったのか…
腹から血を流して泣く長いショットや、山を登っていくバスのロングショットとかがとりわけよかった。
こんな内容なのに都城観光協会が協力しているのが面白い。
久しぶりに中島貞夫×渡瀬恒彦のタッグに大いに楽しませてもらった。