このレビューはネタバレを含みます
若きジョセフ・チャンが一人二役?二人格?を演じる青春もの。台湾映画らしく、瑞々しい緑や水辺の映像が美しい。
序盤こそふわふわしたキュートなラブストーリーかと思わせるけれど、終わってみればこれも友情と恋情の間で揺れ動く男→男→女の三角関係がテーマで、『花蓮の夏』とか『GF*BF』ととてもよく似た物語なのだった。しかもこうして三作並べると一番深刻かもしれない。
「友情より女かよ。(ケッ)」なんて言っていた柏宇。
子涵に対する気持ちを、恋とか愛とか自覚してはいなかったのかもしれないけど、子涵が青青のものになってしまうのがどうしても嫌だったのだろう。
たぶん幼さゆえに暴走してしまったその想いが、滝壺での痛ましい事故に繋がり、それを受け止められなかった柏宇の心も壊れてしまったという悲劇…。
青青が子涵の実家を訪ねる場面、苦しみを語る両親の言葉の、物凄いリアリティに圧倒された。
せめてラストはオープンエンドだと思いたい。
『真夜中の五分前』と少し設定が似ていたけど、こちらの方がペソアっぽいんじゃないかなと思った。