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サボテンの花のロクのレビュー・感想・評価

サボテンの花(1969年製作の映画)
4.0
「おかしな二人」のジーン・サックスが手掛けたスクリュー・ボールコメディの傑作!NYで歯科医をしているジュリアンは結婚を迫ってくる女性が煩わしいため既婚者だと嘘をついて自由気ままに女性との恋愛を楽しんでいる独身貴族だったが恋人のトニーが自分との恋に悩み自殺騒ぎを起こしたことにショックを受け妻と離婚して君と結婚すると告げるがトニーが結婚する前に一度奥様に会ってみたいと言い出し困り果てた彼は同じ職場で働いている美人だが男からは“軍曹”とからかわれている生真面目なオールドミスの看護婦ステファニ-に自分の妻を演じてもらいトニーを説得して欲しいと頼み込む。ジュリアンに密かな想いを抱いていたステファニーだったが自由気ままに恋愛を謳歌する独身貴族の中年男性とわがまま娘の恋を成就させる為に自分の気持ちを殺して二人を結び付けようとするのだが.....たった一つの嘘が更にまた別の嘘を呼び徐々に収拾が付かなくなっていく面倒な恋の行方を描くシェイクピアの「から騒ぎ」や「真夏の夜の夢」などから続いているロマコメの王道とも言える物語を見事にまとめ上げ三者三様の恋の終着点を鮮やかに描いたジーン・サックス監督の演出手腕もさることながら個性豊かなキャラクターを演じた俳優陣達の演技も素晴らしかったです。自分勝手だがどこか憎めないジュリアンを演じたウォルター・マッソー、ゆるふわブロンドショートの髪型で人形のようなまん丸で大きな目をクリクリさせながらジュリアンとの恋に溺れていく若さ爆発なオシャレ女子トニーを演じたゴールディ・ホーンは本作が映画デビューとは思えない演技力と殺人的な可愛さで目が離せません!彼女が暮らしている小さなアパートの内装や小物類もガーリーな雰囲気で可愛らしく女の子なら真似したくなるかもしれませんね。そして、ジュリアンへ密かな恋心を寄せる中年独身看護師ステファニーを演じたイングリッド・バーグマン!!撮影当時は50代を迎えていたということで最初出てきた時は「う~ん...やっぱり歳には勝てないのかな~」と寂しい気持ちになりましたが物語が進むにつれて魔法にでもかかったかのように50代とは思えない美貌と若さ溢れる演技を披露し観るものをスクリーンに釘付けにさせてくれます。特にクラブで若いトニーにダンスを教えてもらいぎこちなくも楽しそうな笑顔で踊る姿のチャーミングさたるや!まさに刺々しい姿のサボテンに可憐な花が咲く瞬間をバーグマンは見事に演技で見せてくれます。本作でアカデミー賞を受賞したのはゴールディー・ホーンですが演技としてはバーグマンには太刀打ち出来ないな~と感じざるを得なかったですね。1969年当時のアメリカの空気感も感じられる作品なのでたまには古き良きアメリカンコメディに触れてみたい方にはオススメです!
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