あまのかぐや

デス・フロントのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

デス・フロント(2002年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます


第一次世界大戦中のヨーロッパ西部戦線が舞台。
混乱のなかで味方からはぐれ孤立した英国軍中隊は、ドイツ軍の塹壕をみつけ立てこもる。なかはドイツ兵の死体の山。生き残っていたドイツ兵を捕虜にとり、仲間と連絡をとろうにもドイツ兵の生き残りとは言葉が通じない。そのなかで最年少のチャーリー・シェイクスピア(ジェイミー・ベル)が片言のフランス語でなんとか聞き出すと「ここは危険だ」とか「敵は塹壕そのものだ」「早くでないと」などと要領を得ない応えばかり。
戦場で孤立した状態と、塹壕内で次々に仲間たちの襲いかかる不可解な変死事件。この双方がじわじわと兵士たちにせまりくる。

TSUTAYAディスカスで届いたこのタイトルをみて「またデスか」(しゃれか)とのたまったオットの感想をぜひきいてみたい。

暗い塹壕内のいかにも醜悪な匂いがたちこめていそうな演出もさることながら、じわじわ襲われる未知の恐怖の描き方が面白い。意志を持った生き物のように兵士たちに絡みつく有刺鉄線、地中を移動し、兵士を引きずり込む謎の存在、姿は見えないが、確かにそこに何かが存在しているような恐怖感を煽ります。

果たしてこれは、戦争の恐怖によって引き起こされた幻影なのか、それとも霊的なものや悪魔の仕業なのか?

一人一人殺されていくのはこの手の映画のまさに王道。生き残ったものは仲間が死んでいくたびに徐々に正気を失っていく。この緊張感が!

戦争という特殊な状況下「恐怖心」「猜疑心」を中心にCGのモンスターやサタンでオチをつけるわけでない、雰囲気で見せる作品は好きです。
かの名作「プレデター」もそれも最初のほうが好きなんですが、プレデター正体あらわす前の「なんなんだ!いったい!」っていう混乱と恐怖がずーっと続く感じ。

しかし如何せん画面が暗い!泥と雨と夜と塹壕!しかも登場人物同じような色の軍服。
みなそれぞれ個性というか、性格には問題アリな面々なのですが顔の見分けがつかないぞー!ただ一人、残忍なクイン役のアンディサーキスだけが、みためもさることながら強烈な個性を放ってました。

主演はジェイミー・ベルです。年齢を偽って英国軍の入隊した少年兵。極限状態のなかで自分を成長させる若者の役。リトルダンサーの役柄の印象がつよかったジェイミー君が、大人への階段を上っていく時期と重なり、感慨ひとしお。ですがホラーとしてみると、その部分はやや浮いていたかもしれません。

DVDの特典でキャスト紹介があって名前と顔と役柄、さらに役者の略歴が入ってました。これ、すっごい親切!これまでで一番「ありがとう!」と叫んだ特典かもしれません。

戦争もの+心理ホラーの可能性に期待!
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