ひでG

鉄道員のひでGのレビュー・感想・評価

鉄道員(1956年製作の映画)
4.1
淀川長治さんと僕とオヤジと②

月曜日の夜にTBSラジオで淀川長治さんの番組があった。
淀川さんが、「イタリア映画は家族、家族、家族ですよ。」て仰っていたのを覚えている。よくこの映画のことを例にあげていらした。

これも、家族団欒で、日曜洋画劇場かなんかで観た記憶がある。

このころ、確か月曜は荻昌弘さん、水曜日は水野晴郎さん、金曜が高島忠夫?そして、日曜洋画劇場が淀川さんって感じで、週3.4回テレビのゴールデンで映画やってた。
他の選択肢がないこともあるが、家族で名画に触れられたことは、心の財産だなって思っている。

もちろん、すぐにレンタルや配信できるけど、家族でちょっと前の名作たちをちゃんと観て、心に溜められた少年時代は、決して文化的に遅れてないなって感じます。

今の子たちは、本人がセレクトするか、大人が見させるかしないと、前世代の例えは若い頃のスピルバーグだったり、ローマの休日だったりを観てないんだよね。

本題に入ろう。
オヤジは「この映画好きだけど、甘いところがある」て言ってたな。
イタリアリアリズム映画【「無防備都市」や「自転車泥棒」等】が最も好きな父は、ややセンチメンタルに流された?的なこの映画はそう感じたのかもしれない。

子供の頃観た僕は、センチぼい終わり方も途中の家族【主に父親】の苦悩も、全部吸収して、感情移入して、入り込んで観た。

人生って終わりがあるんだなあ、なんて漠然とした思いをもって、ラストシーンに見入っていた記憶がある。

家族のために懸命に働き、気がつくと、その家族の一部からも、時代の流れからも取り残されていまった父親。長男との対立など、以降の映画で何度も使われたモチーフの原型がここにある。

健さんの「ぼっぽや」も、この映画のサンドロくんの健気さを引き継いだような「ニューシネマパラダイス」も誕生しなかったかもしれない。
主題歌の哀しいメロディも、ああ、イタリア映画見てるんだなあって、一気にその世界に運んでくれます。
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