れもん

親切なクムジャさんのれもんのレビュー・感想・評価

親切なクムジャさん(2005年製作の映画)
4.0
あまり期待せずに観た『お嬢さん』がバチクソに面白かったので、他のパク・チャヌク監督作品もチェックしないといけない!と使命感にかられて鑑賞。

以前からこの作品のタイトルだけは知っていたんだけど、こんな内容だったとは…

とにかく音楽がすごく良かった。
でも私の教養が無いので「小学校の掃除の時間に流れてたような素敵な音楽」という謎の表現しかできないのが悔しい。笑
ヴィヴァルディみたいな感じ?(適当)
オープニングから雰囲気最高だったんだよなあ。

そしてこの監督は「絶世の美女に振り回される人々」みたいなシチュエーションが好きなのかな。
『お嬢さん』の秀子、そしてこの作品のクムジャ。
どちらもその美貌で人々の心を掴み翻弄する。
自分の美しさを自覚し武器にしている。
だからって「ただの悪女ってわけでもない」感じも共通してるような。

あ、そういやつい最近観た『殺人者の記憶法:新しい記憶』に出ていたダンディ坂野みたいな俳優、これにも出ていて嬉しかった。笑
クムジャの働くケーキ屋の店主の役だった。
韓国映画を観ていたらよく出てくるらしい。
オ・ダルスという名前を覚えた。

作品全体に漂う空気感みたいなものは好きだったんだけど…
罪の無い子供たちが悲痛に泣き叫ぶシーンはなかなかトラウマになりそうで辛かった…
悪人だったらどれだけ酷い目に遭っていても割と笑って観られるんだけど、罪の無い人間…特に子供はダメだわ、私。

調べたところ、この作品は『復讐者に憐れみを』『オールドボーイ』に続く「復讐三部作」の最終作とされているらしい。
むむ…「復讐三部作」…
興味をそそられるけど、精神的にキそう。笑

でも日本の作品だと「復讐なんてしてもあの子は喜ばない」とか言って復讐の邪魔をしてくる登場人物が必ず居たりするんだけど、韓国の作品はきっちり復讐を遂げるからスッキリはしそう。
「復讐なんてしてもあの子は喜ばない」けど「復讐しなくてもあの子は喜ばない」し、「復讐なんてしてもあの子は生き返らない」けど「復讐しなくてもあの子は生き返らない」から復讐させろよ!って思っちゃうタイプの人間なので…笑

けどけど、そういう作品だと覚悟せずに観たのもあって、なんだか観終わってからズドーンと暗い気持ちになった。
そういう気持ちになりたい人にはオススメ…

あと、クムジャを演じたイ・ヨンエが、復讐を終えた時に見せた「喜怒哀楽全てがこもっているような表情」は本当に圧巻だったので、演技が上手い女優を見たい人にもオススメ。

【2019.09.08.字幕鑑賞】
【2019.09.08.レビュー編集】
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