想像を超えた、バイオレンス復讐(と贖罪)コメディ。
あらゆる意味で、先入観を超えてくる。どう分類していいいのかわからないジャンルも、えーこうなるのかという展開も何もかもだ。
冒頭から、クムジャさんは意外な行動をとる。みんなが出所を祝ってくれているのに。
それがずっと続いて、クライマックスまで我々の想像のはるか上を行ってくれる。さすがだ。
色彩も派手。クムジャさんの真っ赤なアイシャドウとか、部屋やインテリアの色とか、現実離れしたどぎつさがフィクションを感じさせる。
端的に言えば、漫画的だ。
「そんなの、ありえない」というよけいな現実的ツッコミを拒否するかのようで、よかった。
クムジャさんのコスプレ大会。これがまたいい。
プリント柄の白を貴重としたものや、黒い革コート、はてはセーラー服まで、何を着せても画になるので、監督はこれでもかと言わんばかりにコスチュームを替えさせる。
追い込んだであろう演技も。復讐が終わった?シーンでの「笑い泣き」の、まさに「般若」「夜叉」の実体化ともいうべき表情には凄みがあった。
極端に振り切って観客の想像を楽々と超えてくる、フィクションの面白さには脱帽だ。
センス・オブ・ワンダー。
追伸:クムジャさん役のイ・ヨンエはこのあと結婚、育児し13年のブランクがあったが幸せに暮らしている。