無差別イイネは咒殺

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山下監督も脚本向井さんも笑いを封じて放った、堂々たる社会派青春ドラマ。

いつもの演出なのですが、笑いを廃するとここまでの重厚なドラマになるのかとビックリしました。

まず、16mmフィルムで撮られた映像がとにかく暖かくて、私の中で理想の映像の一つです。

そしてやはり山下監督おなじみの作り込まれた世界がバチバチにハマっていて、ワンショットワンショットが痺れます。

特に冒頭の殴られてからうさぎを埋めるまでのシーン、反政府組織のアジトの作り込み、事務所で皆があくせく働いてるシーン。

細部まで作りこまれていて、山下監督作品のこの作り込まれた世界と、そこでの人の生々しいやりとり、そして所々なんとも言えない外連味というかエモさという魅力がまたもや爆発した傑作でした。

そして個人的には映画内における反政府組織という存在は、なぜかいつもとても魅力的に見えてしまい、それもまたこの作品に対する特別な思いの一つなのだと思う。

ちなみに梅山という存在は、『不詳の人』『道/子宮で映画を撮る女』『霊魂との交信 めちゃ怖3 「霊能力を持つ男」驚愕のドキュメント』『その男狂棒に突き』に出てくるある種得体の知れない詐欺師/開き直った人への別なアプローチにも思えた。