みゅうちょび

アイガー北壁のみゅうちょびのレビュー・感想・評価

アイガー北壁(2008年製作の映画)
4.0
ずっと観たかった映画です。
壮絶…
地味ながらアメリカ映画にはないずっしりと心に響く秀作です。

ヒトラー政権下、登山家で職業軍人でもあった2人の若者が、当時誰も成功していなかったアイガー北壁の登頂に挑む。

彼らの前には二組の登山家達が命を落としており、表向きには登攀を禁止しながらも、国の名誉のために登山家たちの欲求を煽るようなナチスのニュース映像が流され、各地から集まる登山家たちの競争と自国の名誉となる瞬間を捉えようと、マスメディアや富裕層が麓のホテルに集まる。
映画では、暖かいホテルの中と、過酷な北壁の状況とが交互に映し出されます。
結局登山を決行したのは、主人公2人とオーストリアの2人組で、競争のような形で登攀するも、次第に協力し合うことを余儀無くされる。

実にリアルに刻一刻と彼らとこの過酷な北壁との死闘が描かれ、その壮絶さは眼を背けたくなるほどです。

この映画は実話を基にしており、記者の卵で2人の幼馴染でもあるルイーゼという女性は架空の人物で、物語の軸とも言える彼女とベンノ・フユルマン演じるトニーの2人のエピソードは要らないのではないかと思うふしもありますが、私的にはこれがあったからこそ良かった…
恐らく評価が別れる点のひとつでしょう。

しかし、彼らがなぜ、この魔の山に登る決意をしたのか?国のためなのか?己の為なのか、愛する人のためなのか?後で、そのことをじっくりと考えたくなります。

「生きて帰れ! 」本当に、この言葉が胸に刺る。
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