Mikiyoshi1986

悲しみの青春のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

悲しみの青春(1971年製作の映画)
4.1
3月11日はヨーロッパを代表する女優ドミニク・サンダ様の70歳のお誕生日です!
(注:1951年生まれで67歳の説もあり)
とりあえず祝・古希!

ロベール・ブレッソン監督『やさしい女』でデビューを果たしたフランス出身のドミニク・サンダですが、
彼女はもっぱら70年代のイタリア映画で頭角を表します。

その中でも特に彼女の美貌を堪能できるのが巨匠ヴィットリオ・デ・シーカが監督した本作『悲しみの青春』

イタリアファシズムがナチスドイツと手を組んだ1938年から43年までの間、国内やヨーロッパ全土に飛び火してゆくユダヤ人排斥の不穏な動きを切り取り、その悲劇の令嬢ヒロインをドミニク・サンダが格調高く演じます。
高貴な雰囲気と冷淡なエロスを醸し出す彼女が登場する度、スクリーンは一気に華やぎ、優雅な時間がつらつらと流れ出す…!

本作ではイタリア北部フェッラーラに住む上流階級のユダヤ人娘ミコルを演じているわけですが、
その兄アルベルトを演じるのはヴィスコンティ監督の寵愛を受けた美男ヘルムート・バーガー!
この組み合わせ、映画史上最も美しい兄妹なのでは…!?

ミコルと幼馴染みの主人公ジョルジョには原作者の自伝的要素が投影され、
あくまでプラトニックな関係を望むミコルが主軸となって悲恋の歴史ドラマは展開。

妹ミコルが兄に向ける近親相姦的な思い、一方で兄が密かに抱く同性愛、ジョルジョが長年抱き続けるミコルへの恋心、それを拒絶し自身の愛を通すミコル。
そして、そこに押し寄せる波乱の時代…。

いかにもヴィスコンティ監督が好んで撮りそうな素材に溢れており、
ザ・イタリア映画!なシナリオ展開を携え、自国の悲しき史実に向き合ったデ・シーカ晩年の傑作です。
Mikiyoshi1986

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