J四郎

ベンのJ四郎のレビュー・感想・評価

ベン(1972年製作の映画)
3.8
ネズミパニック「ウイラード」の続編。
まさに前作のラストから話が始まるので、前作を観てないと事態が分からんかも知れない。今作はネズミのベンと少年の交流を描いている。

アホなアイツを殺した為、今回はサツから追われる立場になったネズミ軍団。カテゴリーがホラーってなってたけど、ネズミ側からみたら確かにホラーかも知れんな。
ネズミも前よかアップが多いし、より可愛く映ってる気がする。

主人公の少年は心臓が弱くて友達が居ない。孤独でいじめられっ子って点は前回のウイラードと同じ境遇。(どちらも一応、見守ってる人がいるが)ここらも狙ってんだろうね。

そこへモンスター扱いされ追われるベンが現れ交流を深める。ネズミたちも街で暴れ回ってるので仕方ない部分もあるかな。
まるで昔の特撮でよくあった子供と怪人の回を見てるみたいだ。こういうのは大抵哀しい結末が待っている。

前のはサスペンス調だったけど、今作のクライマックスは動物パニックといって良いスケールになっている。なんとも哀しいネズミと人間の戦争に思えた。それでも他のパニックもんに比べたら物足りないので過度の期待は禁物です。

それよりこの作品はラストシーンが本当に泣けます。子役の演技が素晴らしいのもあるけど、(前作をちゃんと観ていて親友にヒドく裏切られたベンと、この子の境遇を重ね合わせるならって条件付きだが)最後のテーマ曲が状況にピタリと合っていてズルいほど!

その主題歌「ベンのテーマ」はまだ少年時代のマイケル・ジャクソンが歌っている。和訳の歌詞をみるとこの作品のためにあるような歌やん。
あまり期待してなかったけど中々に美しく悲しい物語。
映画自体の出来は「ウイラード」の方が断然良いが、これは思わぬ良作です。
J四郎

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