TS

ロアーのTSのレビュー・感想・評価

ロアー(1981年製作の映画)
4.4
【恐らく世界一撮影が危険な映画】93点
ーーーーーーーーーーーーーー
監督:ノエル・マーシャル
製作国:アメリカ
ジャンル:パニック・コメディ
収録時間:93分
ーーーーーーーーーーーーーー
 今まで見てきた映画の中で一番狂ってた映画かもしれない。度が過ぎていて最早爆笑の領域。笑い過ぎてしんどかったです。ストーリーは大したことないですが、こんな気狂いじみた映画をよく撮ったなと関心するばかりです。動物を愛するにも程がある。どれだけギャラを積まれても出演したくないであろう、世界で一番危険な映画とも言えそうです。

 ストーリーは単純であり、アフリカの奥地に家を構える動物学者がいて、彼の元を訪れた家族がライオンたちに襲われるという話。いや、語弊がありました。ライオンたちは決して襲おうとしてるわけでなく、ただジャレあおうとしてるだけ。なのでどう見てもホラー仕様なのですが、見方を変えるとライオンたちは人間たちと戯れたいだけという、設定はほのぼのとしたものなのです。

 しかし断言しますが相当イカれてる映画です。普通の感覚ではこんなもの撮れない。なんと、今作に出てくるライオンだのトラだのヒョウだの、百数頭に及ぶこれらの動物は全て本物なのです。CGなんて一切なし。これが、僕が今作を傑作と位置付ける最たる理由であり、唯一の理由でもあります。まず冒頭から笑わされてしまいます。キリンの群れを並走するバイクと主人公は普通にライオンの群れに突っ込んでいき、ライオンたちに話しかけます。監査員と主人公が行動を共にしますが、ライオンと戯れて埋もれてしまう主人公。やばすぎ。死ぬでしょこれ。ライオンにとってはただのジャレあいかもですが、人間からすると生死を決めるくらいのアクション。監査員もこれにはドン引き。というか出演者の反応は本物であり、セリフもアドリブなんじゃないかと思えるくらい。

 普通に話してたらいきなり後ろのライオンたちが喧嘩をし始めたりと、おおよそ企画内のものとは思えない映像が連発しています。一体どこまでが当初の想定通りの内容なのか。クレイジーすぎる映画です。

 運悪く主人公が留守にしているときに、ライオンだらけの屋敷に到着してしまう家族。そこからは地獄絵図なのにBGMはホームアローン並みの陽気さ。なるほど、ライオンたちは一切家族を襲おうなんて思っていない。こちらの勘違いなのです。冷蔵庫の開けたり閉めたりのシーンなんて爆笑してしまいましたし、梯子をのぼったらライオンさんたちがこんにちは、樽の水を飲みまくるライオンたち、ゾウにボートを壊されたりだの、もうこの人たち一体何をしてるの?と思わずにはいられない。屋敷内は猫カフェならぬライオンカフェ。ここまで持続的に笑ってしまった映画も珍しい。映像的に面白いというか脳裏に焼き付くものが多く、これは紛れもなくいろんな意味で歴史に残る作品と感じました笑

 一体どれくらい調教したのか。いや、したとしてもこれはあまりにも危険すぎる撮影。現に、後の『スピード』の監督でもあるヤン・デ・ボンは今作の撮影担当だったらしいですが、ライオンに頭を噛まれて200針を縫っているという有り様。死人が出ててもなんら不思議ではない狂気の沙汰の作品。こりゃあ、内容はともかく唯一無二の映画として高評価しないと。とにかく動物が好きで仕方ないという方は、人間と猛獣の極限の触れ合いを堪能することができるので是非笑
TS

TS