かたゆき

TOKYO!のかたゆきのレビュー・感想・評価

TOKYO!(2008年製作の映画)
3.0
その都市の名は、東京。
世界中の様々な人間たちの夢や希望、憎しみや孤独、愛や欲望を丸ごと呑み込み、今もまだ増殖し続けるエキゾチック・シティだ。
この特異な街を舞台に、時代の先端をゆく国際色豊かな3人の監督が独自に紡いだ摩訶不思議な3つの物語。

第1話『インテリア・デザイン』
映画監督志望の彼氏とともに、地元から上京してきた女優の卵。
お互い才能もプランもないまま、友達の家へと転がり込んだ彼女は、次第に疎外感に苛まされてゆくことに。
自分の居場所を求めて東京を彷徨い歩く彼女はやがて、自らに与えられた“役割”に気付いてゆく――。
監督は『エターナル・サンシャイン』で一躍時代の寵児となったミシェル・ゴンドリー。
いかにも彼らしいマジカルな世界観は相変わらず健在で、このダメカップルのどうしようもない日常を気の利いた会話劇で描く前半はなかなか居心地が良かった。
と思っていたら後半、彼女がまさかのメタモルフォーゼ。
リアル人間椅子となった彼女はちょっぴりエロティック&グロテスクで大変グッド。
ただ、いつもの彼らしいカラフルな映像は今回影を潜め、全体的に暗くて湿っぽく日常感に溢れているのは舞台が東京だからか。
もっとポップさが欲しかった。星3つ。

第2話『メルド』
東京の肥溜めのような地下世界からマンホールを通じて現れた隻眼の怪人は、旧日本軍が遺した手榴弾を使い無差別に日本人を殺戮してゆく。
警察に捕まり、始まった裁判の中で怪人はまるで大昔の小説の主人公のように不条理な理論を展開するのだった――。
監督は、今回初めて作品を観たレオス・カラックス。
正直、何がしたいのかさっぱり理解不能な作品だった。
すんごく独り善がりな感じがして、短い作品なのにとても退屈に感じてしまった。
また、日本人を若干小馬鹿にしたような表現が散見されるのも観ていて気持ちのいいものではない。星2つ。

第3話『シェイキング東京』
10年もの長きにわたって自宅へと引きこもっている中年の男は、土曜日にだけ頼むピザの宅配員の女の子に恋をする。
だが、彼がとある“秘密”に気付いたことから彼女はお店を辞めてしまうのだった。
自分の世界に閉じこもっていた男は、10年ぶりに外の世界へと出る決心をする。
ただ彼女と会うために――。
監督は、外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今ノリにノッているポン・ジュノ。
三本の中ではコレが一番良かった。
太もものガーターのところに何故か電源ボタンが付いているピザのツンデレ配達員を演じた蒼井優がとても魅力的。
他にも主人公の引きこもり描写や無人の東京の街並みなど、演出の細部にまで才気が感じられてさすがの貫禄だった。星3.5。

というわけで、全体の平均を取って、総評としては星3つ。
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