タキ

デビルのタキのレビュー・感想・評価

デビル(1997年製作の映画)
3.8
まずIRAとは、というところから入らねばならないぐらいアイルランドとイギリスの歴史についての知識がほとんどなく、ザッとネットで調べてから見たけど知識がなくても大丈夫なぐらい深掘りなしのシンプルなストーリーだった。フランキーの活動の動機は幼い頃にIRAシンパだった漁師の父を眼前で殺されそのことから、母と妹も不幸な死に方をしたようで、つまり政府や警察への復讐というもの。ここが込み入ってないのでわかりやすい。ぶっちゃけ設定がIRAでなくてもいいんじゃないかという気がしないでもない。
仲間がどんどん死んでいきフランキーひとりでスティンガーミサイルを船に運び込む姿は哀れであった。対政府への地下活動のためではあったがショーンとの楽しげな様子は永遠に失われもう戻ることはできないところまで彼はたったひとりで来てしまったのだ。
そして百戦錬磨の若きIRA活動家に威嚇射撃で4回しか銃を撃ったことのないおじさんが立ち向かうという無理ゲーながら迷いなくフランキーの船に飛び乗るトム。いったいどこからくるのその自信…と思うけれど中の人がハリソン・フォードだから、という説得力。フランキーはトムが死なないように肩を撃ち抜き、トムはフランキーのハラに着弾させてしまう。ハリソン・フォードだからムダに腕がいい。おまけにハリソン・フォードだから船の操縦もできるのだった。

邦題はデビルだが原題は「The devil's own」とのこと。

devil's own
《the ~》〔仕事などが〕困難な、大変な、非常につらい

原題には含みがない。
ネガティブな心情や行動についての負の連鎖を分かっていて止められるトムと分かっていても止められないフランキー。「アメリカの話じゃない。アイルランドの話だ」とフランキーは言ったが、トムの正義はアメリカでしか通用しない正義なのだ。本当のデビルはどっちなのか。
「君と僕はこうなるしかなかった。」と生きているうちは交わることのないふたりの魂を乗せて船はアメリカへUターンをする。同じアイリッシュでありながら生まれてくる国が違えばこんなに人生違ってしまう。次はいい国にうまれてくるんだよとブラピびいきの私はハリソン・フォードの網膜がやられるほどの眩しい正義を憎々しく思うのだった。

色々書いたけど実はストーリーへのツッコミを凌駕するブラピの美貌を愛で過ぎて2時間ボーッと見ていた。当時33歳くらいだろうか。哀愁を帯びた美青年というのはいい…すばらしくいい…子犬のようにアメリカで仲間とはしゃぐブラピ、武器商人にたったひとりで立ち向かうブラピ、メーガンとのラブシーン、幼女とブラピの並びも(以下長くなるので省略
そしてフランシス・マグワイヤーはエンジェルと呼ばれていたらしい。なんと納得の別名(深く頷く)
タキ

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