イチロヲ

復讐者に憐れみをのイチロヲのレビュー・感想・評価

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)
4.0
重病を患っている姉の手術費を工面するため、唖者の弟が会社社長の令嬢を誘拐してしまう。韓国の格差社会を背景にして、善意を行動理念とした犯罪行為を描いている、サスペンス映画。パク・チャヌクによる復讐シリーズ第1弾。

姉と一緒に底辺部を生き抜こうとする唖者の青年が、悩んだ末の犯行により負の連鎖を生み出してしまう。自分にとっての善が他人にとっての悪になることを示唆させながら、シニカルなギャグを織り込んでいくスタイル。

登場人物では、主人公とコンビを組むことになる共犯者の女性(ペ・ドゥナ)に関心が高まる。過激派のヤサグレ女を見事なまでに表現しており、濡れ場では張りのあるお椀型の乳房と程よい肉付きの女体美を披露してくれる。

中盤部に入ると、娘を奪われた会社社長(ソン・ガンホ)に視点が切り替わり、リベンジ劇が動き出す。手掛かりをご都合主義的に発見していくが、恐怖と笑いが混在するブラック・ジョークとして高い完成度を誇っている。
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