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復讐者に憐れみをのTSのレビュー・感想・評価

復讐者に憐れみを(2002年製作の映画)
4.1
【二つの復讐劇】86点
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監督:パク・チャヌク
製作国:韓国
ジャンル:犯罪
収録時間:117分
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安定の韓国映画。パク・チャヌク監督の「復讐三部作」と言われる作品の1作目。三作の関連性はないのですが、復讐というテーマは同じ。次作の『オールドボーイ』は個人的には普通でしたが、今作は中々強烈な映画でした。とにかく痛烈な描写が多い。カッターで腹を切り裂く様や棺桶の中の遺体が徐々に燃えて黒くなっていく様子など、普通撮らないだろうというところを映してくるから恐ろしい。この手の作品が苦手な人はやめといたほうが良いかもしれません。

聴覚障がいのあるリュウは姉の腎臓病を治すために退職金をはたいて移植用の腎臓を手に入れようとする。しかし、失敗してしまい彼の手元に金がなくなるのだが。。

一見、金を奪われたリュウが復讐に走る映画かと思われます。もちろんその一面もあるでしょう。ただ、今作のメインの復讐劇はその後のものになります。なんとリュウは身代金目当てで裕福な家庭の娘を誘拐するのですが、その娘を誤って死亡させてしまうのです。これにブチ切れた父親が鬼のごとくリュウを追い詰めていくというプロットなのです。この二つの復讐劇がそれぞれ展開され、いよいよ交差する時が恐ろしい。リュウからすると、こんなことになったのも金を奪った闇組織のせい。リュウも鬼になったかのように闇組織の連中を殺していきます。一方の父親もリュウを突き止めるためあらゆる手を使い復讐を果たしていきます。とにかく痛い。痛い描写も多く、ラストもなかなかの胸糞悪さ。しかし、こういう映画は嫌いではないので高評価です。

韓国の映画って基本的に重たいテーマが多いです。今作も結局、闇の組織に頼らないと命を救えないという韓国の裏社会事情を示唆しているかのように見えますし、そのためには誘拐事件も日常茶飯事であるということが仄めかされています。以前から述べていますがノワール系を描かせたら韓国と日本はピカイチ。何故かはわかりませんが今作もその一員に入るでしょう。
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