ゆうゆ

砂の女のゆうゆのネタバレレビュー・内容・結末

砂の女(1964年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます


そこは地獄の1丁目?
蟻地獄のような場所に軟禁された
男の運命

そこに待ち受けていたのは
素朴でどこか妖艶な女。
来る日も来る日も砂で埋もれそうに
なる家で砂かきして その場所を
安住の地として生きる

都会からやってきた男は
元の生活に帰ろうと必死に抗うのだが
頑なだった男の内面に
やがて変化が訪れる

砂を掘って 女と過ごす刺激のない
単調な日々のながれ、決して快適とは
いえない閉塞的な時間のなかに
小さな喜びとやすらぎを見出し
次第に気持ちのざわつきが凪いでゆく



モノクロ作品ならではの 陰影に浮かぶ、
彼女の気持ちを代弁しているかのような
様々な砂の表情や 砂と髪の毛がねっとりと
絡む女の一瞬の佇まい、初対面での 男を
品定めするような視線、丁寧に泡で撫でる
艶めかしい手つきや半開きの唇と胸元、
随所にみせる影のある美しさが秀逸

生々しい恐ろしさの中にピュアな
寓話性も含まれているようで
長尺でしたがとても魅了されました。
導入のスタッフロールのアート性も斬新



2022-183
ゆうゆ

ゆうゆ