このレビューはネタバレを含みます
そこは地獄の1丁目?
蟻地獄のような場所に軟禁された
男の運命
そこに待ち受けていたのは
素朴でどこか妖艶な女。
来る日も来る日も砂で埋もれそうに
なる家で砂かきして その場所を
安住の地として生きる
都会からやってきた男は
元の生活に帰ろうと必死に抗うのだが
頑なだった男の内面に
やがて変化が訪れる
砂を掘って 女と過ごす刺激のない
単調な日々のながれ、決して快適とは
いえない閉塞的な時間のなかに
小さな喜びとやすらぎを見出し
次第に気持ちのざわつきが凪いでゆく
༶
モノクロ作品ならではの 陰影に浮かぶ、
彼女の気持ちを代弁しているかのような
様々な砂の表情や 砂と髪の毛がねっとりと
絡む女の一瞬の佇まい、初対面での 男を
品定めするような視線、丁寧に泡で撫でる
艶めかしい手つきや半開きの唇と胸元、
随所にみせる影のある美しさが秀逸
生々しい恐ろしさの中にピュアな
寓話性も含まれているようで
長尺でしたがとても魅了されました。
導入のスタッフロールのアート性も斬新
2022-183